不適格の烙印
- 2016/08/29
- 18:16
スーツの女の子4人に、2人にフェラチオをされ、一人に乳首をなめられ、一人キスされ耳をなめられ、おっぱいをもみ、尻をもみ
という最強のシチュエーション。
そんな中、僕は立たなかった。
いいや、たったにはたったのだ。たつにはたつのだ。プレイ開始時はすぐにギンギンになり早く入れてくれと心うちで懇願していたほどだ。何故そんなにも早々にも「早く入れてくれ」と懇願するのか。それはその荒ぶった高まりが常時維持されるということはなく、いざゴムをつけ、さぁ騎乗で入れましょうというときには、まるで風船の空気口を結ばずにそのまま手を離してしまった時のように勢いよくしぼんでしまうからだ。女優陣もあわてる、早イキ対決、という名目の撮影。それを考慮するならばリアリティのあるいい演技ではあるのだが、僕自身の焦りは尋常ではなかった。(早く立たせなければ)、とその焦りがつま先と顎の筋肉を硬直させ、ビニールマットの上に寝そべっている僕の裸の背中は、クーラーが効き過ぎてむしろ凍えてしまうくらいのこの部屋の中でかくとは到底思えないくらいの汗が噴きこぼれ、密着度合いが秒を追うごとに増していっているように思えた。まるでその汗とビニールによる付着が僕が高めようと高めようと体を硬直させ続けていく度に、僕の筋肉以外の何かを下へ下へ引き摺り下ろしていくような、失墜させていくようなそんな感覚があった。
ADの人がベッドで力む僕の腕をぐいと引っ張った。僕はカメラが回っているのにもかかわらず、「えっ」と声を出してしまった。カットが入り、「替え玉の人」がやってくる。僕は殺されず、ただただそこから捨てられたと言うのがよくわかった。孤独感と絶望感が全身を覆い尽くした。
替え玉の彼もイクまでに5分近くかかってしまっていて、撮影はこのシーンで随分と時間をかけてしまうことになった。
僕は男優に向いていないのだろうか。
そう、思いたくない知りたくない現実に直面し、向き合わねばならざるを得なくなってしまった。
男優に必要なスキルは「演技力」「射精力」「勃起力」である。前者二つは僕はできていると思う。特に射精に関しては修練のおかげでか一つの撮影で3出しができるようになったことから、傲慢ではあるが業界の中でもそこそこにできる存在であるのはなんとなくだがわかる。
だがそれは「汁男優」では、使えるだけの話である。「汁男優」と「男優」は異なる。「汁男優」とは精子を出すだけの存在だ。女の子の顔にうまく液を落とす、それだけの存在だ。いうなれば液だけが必要とされていて、それ以外の体のパーツは飾り、オブジェクトとしてしか見られてはいない。
「男優」は違う。射精の力もだが、それ以上に勃起力が重要視される。堅くギンギンになった自らの棒を常に維持し続けることが男優に求められるスキルなのだ。
僕は立たない人間ではない。だがそれが萎えるのがすごく早い。計ってみたところ、マックスの状態から20秒足らずで萎えてしまうようだった。とある監督はその様をみるに、「それは男優の末期症状、何十年も男優見てきたけれど、そういう人たちって結局うまくいかずに辞めてっちゃうんだよね」そう僕に告げていた。
棒の維持力、兎に角それさえあれば僕は男優としてうまくいく。僕はすがるような思いで、以前ツイッターのタイムラインで見かけたしみけんさんの「¥2000のnote」を購入した。
ED、中折対策にはこう書いてあった。
『ほぼすべてのED、中折の人が精神的なところから来るものだ。健康的な食事と睡眠、適するサプリをとり、毎日スクワットをすること。
それでもだめなら、勃起薬を使いましょう。毎日飲んだって死にやしません。』
二十台半ばの僕だ。
薬を飲み始めたら間違いなく終わってしまうのはわかる。あの監督も、男優の仲間も「薬だけはやめておけ」そういっていた。僕の男優としての弱点、それは勃起力以前に、基本的な、精神面によるところでは間違いないようである。非常に抽象的なものしか見えていないが。
という最強のシチュエーション。
そんな中、僕は立たなかった。
いいや、たったにはたったのだ。たつにはたつのだ。プレイ開始時はすぐにギンギンになり早く入れてくれと心うちで懇願していたほどだ。何故そんなにも早々にも「早く入れてくれ」と懇願するのか。それはその荒ぶった高まりが常時維持されるということはなく、いざゴムをつけ、さぁ騎乗で入れましょうというときには、まるで風船の空気口を結ばずにそのまま手を離してしまった時のように勢いよくしぼんでしまうからだ。女優陣もあわてる、早イキ対決、という名目の撮影。それを考慮するならばリアリティのあるいい演技ではあるのだが、僕自身の焦りは尋常ではなかった。(早く立たせなければ)、とその焦りがつま先と顎の筋肉を硬直させ、ビニールマットの上に寝そべっている僕の裸の背中は、クーラーが効き過ぎてむしろ凍えてしまうくらいのこの部屋の中でかくとは到底思えないくらいの汗が噴きこぼれ、密着度合いが秒を追うごとに増していっているように思えた。まるでその汗とビニールによる付着が僕が高めようと高めようと体を硬直させ続けていく度に、僕の筋肉以外の何かを下へ下へ引き摺り下ろしていくような、失墜させていくようなそんな感覚があった。
ADの人がベッドで力む僕の腕をぐいと引っ張った。僕はカメラが回っているのにもかかわらず、「えっ」と声を出してしまった。カットが入り、「替え玉の人」がやってくる。僕は殺されず、ただただそこから捨てられたと言うのがよくわかった。孤独感と絶望感が全身を覆い尽くした。
替え玉の彼もイクまでに5分近くかかってしまっていて、撮影はこのシーンで随分と時間をかけてしまうことになった。
僕は男優に向いていないのだろうか。
そう、思いたくない知りたくない現実に直面し、向き合わねばならざるを得なくなってしまった。
男優に必要なスキルは「演技力」「射精力」「勃起力」である。前者二つは僕はできていると思う。特に射精に関しては修練のおかげでか一つの撮影で3出しができるようになったことから、傲慢ではあるが業界の中でもそこそこにできる存在であるのはなんとなくだがわかる。
だがそれは「汁男優」では、使えるだけの話である。「汁男優」と「男優」は異なる。「汁男優」とは精子を出すだけの存在だ。女の子の顔にうまく液を落とす、それだけの存在だ。いうなれば液だけが必要とされていて、それ以外の体のパーツは飾り、オブジェクトとしてしか見られてはいない。
「男優」は違う。射精の力もだが、それ以上に勃起力が重要視される。堅くギンギンになった自らの棒を常に維持し続けることが男優に求められるスキルなのだ。
僕は立たない人間ではない。だがそれが萎えるのがすごく早い。計ってみたところ、マックスの状態から20秒足らずで萎えてしまうようだった。とある監督はその様をみるに、「それは男優の末期症状、何十年も男優見てきたけれど、そういう人たちって結局うまくいかずに辞めてっちゃうんだよね」そう僕に告げていた。
棒の維持力、兎に角それさえあれば僕は男優としてうまくいく。僕はすがるような思いで、以前ツイッターのタイムラインで見かけたしみけんさんの「¥2000のnote」を購入した。
ED、中折対策にはこう書いてあった。
『ほぼすべてのED、中折の人が精神的なところから来るものだ。健康的な食事と睡眠、適するサプリをとり、毎日スクワットをすること。
それでもだめなら、勃起薬を使いましょう。毎日飲んだって死にやしません。』
二十台半ばの僕だ。
薬を飲み始めたら間違いなく終わってしまうのはわかる。あの監督も、男優の仲間も「薬だけはやめておけ」そういっていた。僕の男優としての弱点、それは勃起力以前に、基本的な、精神面によるところでは間違いないようである。非常に抽象的なものしか見えていないが。