【初ギラの行方】5連準即アポノック〜1日目〜
- 2015/04/17
- 15:14
Plan。
・マインドを揺るがなく持ち続ける
・ルーティーンや理論をフルに使用、出し惜しみせず適材適所で使用する。
・1即をする。
Do。
14:00 晴れ、ヒートテック二枚重ねはもう辛いレベルの気温。
私は某駅にて営業を開始して初めてのアポの相手となるジェリーと待ち合わせをしていた。集合時間まで後5分。駅の綺麗に清掃された公衆トイレの鏡の前で最終確認を行う。
腹ごしらえよし、からのブレスケアよし、爪…深爪だけどよし、肩のフケなし、鼻毛なし、ヒゲのソリ残し…良かった…なし、ルーティーンセット…よし。
ミリオンダラースマイルは…?
_______スマイル率78、今のところ安定しています。
残金は…?
_______6000!いつでも行けます!!
マインドはなんだ?
_______…即契約することです!!!
qb初号機、リフトオン!
初即を目指し、いざ出陣。
頭の中で某人造人間アニメの戦闘曲が流れる。今日は何だろう。気持ちが軽やかだ。準即デートは初経験で、昨夜はちゃんと眠ることができず、30分前には目をこすりながら駅前で急遽買った爪切りでうっかり深爪したばかり筈なのに頭の中は以外にもはっきりとしていた。
絶対に即してやる。
1日でも早く一流と言われるくらいのPUMになりたい。
近づきたいんだ。
強い熱意、目標、意気込みがない限り成長をすることができない。失敗を恐れずに全力で挑まなければいけないことは声かけのノックの最終日に気付かされたことだった。勿論不安はあった。テンパってルーティーンや褒め理論が真っ白になるかもしれない。ネグりすぎて失礼をしてしまうかもしれない。ギラついた時に大きくグダつかれてもう会えなくなるかもしれない。それならそれで構わない。反省は全て終えてからするんだ。
「PUMは捨てる覚悟を併せ持つ」
今全力で行こうと決意した。
私が色んな思いを馳せている中、彼女はやってきた。
データ
歳 26歳
職 アパレル
顔 トムとジェリーのジェリー。
値 スト値2(顔面偏差値53)
概 プレデート済み、恋愛観の引き出しまだ。彼氏しばらくおらず、ヒトカラガチ勢。
ジェリー「やっ!」
スト値2の彼女。私的顔面偏差値でいうところ53の彼女は、以前会ったジェリーよりも化粧映えがいい。化粧の力は偉大だ。今日は55かもしれない。そのためか以前会った時よりも笑顔が見られた。
すかさず今日第一声目の褒めを口にする。
私「おやっ?前会った時より綺麗な顔になったね。君、本当にジェリー?」
ジェリー「なにそれー」
目を細め、彼女は控えめに笑う。私が褒めると、彼女はよく恥ずかしがっているような姿をみせた。
この褒めは別に事前に用意していたわけではない。笑をとるための褒めはないかと自然と口から出た言葉だった。
今思えば我ながらアメリカンな発言すぎて笑えてしまう。いやらしさが出ていそうで不安だ。改善策を考える必要がある。
たわいもない挨拶をしながら今日の戦地へ赴く。その途中でジェリーの今日この後の予定を聞く。
ジェリー「今日はピアノ教室にいくの」
私「ピアノ?!してたんだ。へぇ何歳から?」
ジェリー「物心ついた時には既に」
私「ちっちゃい頃からかい。すげーな。ジェリーってつつけば突くほど隠し芸でてくる笑」
ジェリー「そんな笑 でもね、高校入ってやめちゃったんだ。最近またはじめたの」
私「なるほどね。でもあれでしょ?絶対音感はあるんでしょ?」
ジェリー「んー、忘れちゃったかもー笑」
私「絶対音感って忘れるものじゃないじゃない?笑」
ジェリー「笑」
私「ほー。今日の場所は音楽最強の力を持つジェリーの独壇場を見ることができそうだね」
我々はカラオケボックスへ足を運んだ。良くヒトカラをするらしい彼女。それならばということで前回のプレデートで今日のアポを打診し、今に至る。
カラオケボックスは営業師にとって多く使われる即スポットだ。初めての即を狙うにあたり成功率を高めるためにも成功者の真似を環境から真似ていかねばならない。カラオケボックスは好都合であったのだ。
時間制限を聞かれる…大抵の場合、1であるらしい。そのまま答えようとするが一瞬悩んだ。
…和みを十分に行いたい。カラオケをするのも約束している。全く歌わないのは不自然だ。ここは……
私「二時間で」
ジェリー「大丈夫?仕事は?」
私「今日は7時からだから大丈夫だよ」
プロであればあるほど短時間でことを済ますことができる。だが今の私はまだ初心者なのだ。効率的に会話で相手を気持ち良くさせ、ギラつくまでのメゾットが頭の中には入り込んでいない。
多少会話に無駄があり時間がかかることを想定して私は二倍の量にしてみた。これが吉と出るか、凶と出るか…
ドリンクを選ぶ。
ミラーリングだ。彼女と同じものにした。
…これはミラーリングなのだろうか。
違う気もする。
私は以前からこのミラーリングをよく使っていた。同じ足を組む、同じ頬をつく。
…ぎこちなくなってそうな。
私はネットで地蔵をしていたから知識だけは膨大にある。だがそれをちゃんと使いこなしているか?
実際のところ知識に振り回されてしまっている感はある。なぜかと言われれば二真似のミラーリングをすることで成果が得られた、とは感じられないからだ。
そんなふうにふと思った。
何でもかんでも知識を使うんじゃなくて出しどころをよく考えたりアレンジしたりすればどうだ?
そう思った。
「すみません、やっぱ俺は烏龍茶で」
案内された部屋に入る。私は入り口側に座り、彼女は私と対面するように座った。
さて、ギラつくにはまず身体的接触が可能な距離…隣り合わせが必須であるが。
いや今はこのままでいい。あくまでカラオケをしに来ているのだからまずは自然に、段階を踏んで攻めよう。
彼女が上着、モッズコートを脱ぐ。深緑の中から可愛らしいまるで春色な服が露わになった。
私「わっ!脱いだらおしゃれ!こういう色の服も着るんだね。ジェリー服えらぶセンスいいよなぁ」
ジェリー「あ、ありがとございます笑」
私「なんで敬語ねん笑」
ジェリー「だってさぁー笑 はいマイク、初手どーぞ笑」
私「えー、半年ぶりの俺に初手わたすー?笑」
我(私の歌を、キケェエエエイ)
初手に歌いながら4分半の曲の中で二時間で即するためのゲームメイキングを必死に考えた。つい二番目の歌詞が飛んでしまう。…が、その代償に10分後に自然と近寄れる口実を思いついた。今日は歌いに来たのではない。契約をしに来たのだ!そもそも私が本当に歌いたい曲はこんなカラオケランキングで常に上位にあるなぁなぁなでゆるい曲なんかではないのだ。デスボとシャウトを効かせた…
ジェリー「まさかのうまい人だった!」
曲が終わった後、ふいにジェリーに褒められる。やられた!とっさ過ぎて私がトランスに入ってしまったではないか!人を褒める営業師なのに褒められるのには弱いPUMの私は動揺を悟られぬようすぐさま切り返す。
私「なーにいってんの。ジェリーヒトカラマスターで絶対音感持ちでしょー?富士山ばりの高みから褒められても困りますよ先輩笑」
ジェリー「まーねーって…ちょっとなんかハードル上がってるのだけど?笑」
私「笑」
ジェリー「急に緊張してきた笑」
ジェリーの番。流石だった。彼女は私の以前私がアルバム持っているといった曲の中から歌ってくれた。実は持っていないのだがPV曲なので手拍子の場所を曲の1番で把握。二番目からPVのアーティストに合わせて手を叩いたいて知っている、乗っている、聞いている風を出させる。これは私の不毛なAFC期、大学時代の初頭に身につけた技であった。過去に学んだもの全てが悪いわけではない。この技はカラオケならばどんな場でも盛り上げに使える。相手の曲を聴かずアイポッドをみて自分の歌いたい曲を探すという行為はグループでも気分のいいことではないし、そもそも私にアイポッドなんてなかった。
彼女の番が終わる。全然ダメと言っているが全くだ。かなりうまい。何処がダメなのだろうか?具体的に教えてもらいたいレベルだ。
2、3回歌い合う。
グリーンの愛歌はPVが長めのため歌いの応酬でトークを切り出すために使える、そう感じた。しかし練習が必要。本当に半年ぶりに歌った私は愛歌の序盤、余裕で声がかすれることを察した。高音が最後まで持たない場合は前半を歌詞が飛んでしまった風にズタボロで笑いを取りながらノドの域帯を調節しつつ、最後のサビをしっかりと歌い受けをとる、というこれまたAFC期に編み出した唯一の遺産を使い、なんとか成し遂げることができた。
ジェリー「やっぱうたえるんじゃーん笑」
私「笑」
狙い通りの反応に安堵した。
さあ遊びは終わりだ。仕掛けるぞ。
ジェリーが歌う。バラード。デンモクを持ちつつ、私もそれに合わせて肩を揺らす。画面を見ながら、まるで聞き入っているかのように。まぁ実際にうまいので本当に聞き入れたのだけれど。
曲が終わる。
私「いや、すげーうまい。声めっちゃ綺麗。努力してるだけあるよね。ほんと」
ジェリー「いや、今日ダメだからほんと笑」
私「何処がダメなのか教えてもらいたいのだが笑」
ジェリー「すごく緊張してるから笑」
私「そんなに緊張してるん?笑 なんで?笑 俺に緊張してん?笑」
ジェリー「うーー笑」
私「てかうまいから聞き入っちゃったよ。次何入れようかね」
ジェリー「そんなにがっつり聞かないで笑」
私「ほんとにうまいんだって。ねね、福山雅治は知ってるよね?」
ジェリー「知ってるよー」
私「めっちゃ悩んでんだけどさ、どれ歌おうかなぁ、ジェリーきめてよ」
ここでデンモクを持ってジェリーの横に座り彼女と一緒に次に私が歌う歌を決めさせる。
これで自然と真横に位置取ることができた。
探しながら今日の目的である恋愛観の話題の引き出しに入る。
「そいやいつからいないんだっけ、彼氏」
今はいないことは把握済みなので何人いルーティーンは省いた。別れたのは数ヶ月前。なんで別れたのか聞く
と顔が曇る。
私「あんまいい別れ方しなかったみたいだね」
ジェリー「んー…君はどうなの?」
返答が返ってくる。気まずさの切り返しか。だが初めて私に対して質問をした。食いつきは余裕で良好と見ていいだろうか。私はあのルーティーンを切り出した。
私「俺?彼女は14人いるよ」
真顔で返す私。14人彼女ルーティーン。驚く彼女。
ジェリー「うそでしょー?笑」
と笑う。それに平然に真顔をつくり返答する。
私「女友達も含めて、だけどね。だからジェリーも入ってるよ」
ジェリー「ってことは私、15番目ってこと?笑」
笑っているが笑顔ではない。苦笑いというか引き笑いというか。
私の中で戦慄が走った。
しくったか?失敗したか?と私は思った。この引き笑いがどんな意味を持っているのか今の私にはわからない。少なくとも心は揺らいでいることは確かだ。しかもマイナス側に。それが目的のルーティーンなのだ。
このマイナス側の揺れ幅が拒絶の意味となるか、希望に変えられるものとなるのかこの後のフォローできまる。そしてそのフォローはルーティーンにくみこまれている。
強力なルーティーンは女性に効く。だがその使用者も例外ではなく、意味をしっかりと理解して淡々と使いこなせるレベルになっていないとルーティーンの効力が自分自信を恐怖に飲み込み、口が回らなくさせてしまう。飲まれた末路が見える。
…正に文字通り、本末転倒だ。
私はルーティーンを使ってその強力な効力に負けそうになってしまっていた。予定調和に恐怖した。
効力に飲まれず本末転倒にならない方法。それはただただ淡々とルーティーンを順番通りに進めるしかない。
私「俺は信頼できたり尊敬できるひとほど大切にしている。ジェリーは一緒にいて楽しいし仕事熱心で尊敬できる存在だから俺にとってこの中でも特別な存在だよ」
言えただろうか?ほぼ無心で言っていた。特に最後の部分、ここが重要なのだが言えただろうか?
ジェリー「うん…」
私「それはそうとさ、これいいんじゃない。桜坂。めっちゃいい曲だよな、出だし忘れたけど」
ジェリー「忘れたのかーい笑」
歌う。彼女もデンモクに曲を入れる。私が聞き入る。曲を入れない。さぁまた話すターンとなった。
明るい話題に切り替えよう。
私「ジェリーは甘えん坊だよね?」
ジェリー「えっ?うーん、そだねぇ」
私「どうやって彼氏に甘えるの?」
ジェリー「えー、どうやってってか…」
悩むジェリー。ジェリーは職業柄人の話は話半分に聞く癖があり、受け答えも適当になってしまうことがあるらしい。だからそんな適当な返答をした時は、今適当に答えたでしょ笑と突っ込むようにしていた。
だがこの質問では彼女はトランスに入っている。少しだけ「彼氏」の部分をゆっくり強めに発言してみた。そのことで彼女のコンプレックスに入り込みちゃんと考えざるを得なくなる状況を作り出させてみた。
だが答えは出ない。
出かかっているように見えるが恥ずかしいのだろう。
私「口に表すの恥ずかしそうだね。実際に俺にやってみてよ。」
ジェリー「えーーはずかしいよぉ笑」
私「大丈夫大丈夫、ただのテストだから笑 どれくらいの甘えん坊さんなのか点数つけてあげるよ笑」
ジェリー「てすと?笑」
笑がある。タッチテスト。話しながら肩に手を置いてみたりする。拒絶はない。だが向こうからくることもなさげである。なるほど、来るもの拒まない状態だな。ならば私が彼女に方向性を持たさねばならない。
私「甘える時、手は握るよね?」
ジェリー「そだね、うん」
回答に詰まりがない=彼女の適当返答モードではないを確信。そのまま私はハンドテストに入った。彼女の手を貝殻繋ぎ一歩手前、指を緩めた状態まで持っていく。
ジェリーは自ら握ってきた。
なるほど、だんだんジェリーの本質が見えてきた。今の彼女はある程度の距離まで条件を譲歩すれば自ら私に歩み寄ってくる。私も握り返してみた。
私「あー、いいじゃない。貝殻繋ぎっていいよね。俺、ほんわかする笑」
手を握ったまま会話をする。
私「一人っ子だよね」
ジェリー「そだよー、あれ言ったっけ?」
私「いいや、勘だよ。周りには結構おねぇさんみたいって言われない?」
ジェリー「あたりー、よくわかるね!」
私「ジェリーが本当の甘えん坊さんなの今確信したから笑 ギャップがあるジェリーは素敵だと思う」
スト高ではないため優しく発言していく。実際はんー、とか、そだねぇとかの相槌、所謂脳のオナラが出てしまっていた。改善してスラスラ言えるようにならねば。
だがやはりルーティーンで言わずにアドリブでいえるとちゃんと言えたかどうか頭の中にも残っている。ルーティーンもアドリブど同様レベルにからだに染み込ませたいものだ。
それにしても今日はアドリブが冴えている。目を見て話すこともできている。目が合い私はすぐに視線を外すと、
私「この上着どこで買ったの?」
ジェリー「えっ?これ。」
私「ねぇね。ジェリーってさ。目綺麗だよね。」
ジェリー「えっ…う…誰も言わないよそんなの」
私「えー、ウソだぁ。すごく綺麗だよ?目そらさんで。ちゃんと見せて。」
ジェリー「はずかしいって…」
私の中のアドリブはノリノリのようだ。ルーティーンの戦慄がウソのように心が軽やかで口走る。だがあまり攻めすぎるのもよくない。序破Q。緩急つけねばいけない。切り替えだ。
私「これ歌ってよ」
リクエストに応じてもらう。意気揚々と歌っている。やっぱりうまい。間奏のところでヘアタッチを試みた。アサペン氏を筆頭に色々な営業師の方々が使用する三つ編みルーティーン。
ジェリー「たぶんできないよ。パーマだし」
私「任せろよ?負けねぇですっ。俺の三つ編み愛はパーマには屈しない!」
ジェリー「もー笑」
私「あ、ごっそり毛が抜けてはげちゃったらごめんね。そうなっちゃったらリーブ21通うだけのお金は払うから」
ジェリー「やだぁー笑 それだけはやめてね?笑」
三つ編みをしながらケータイで時計を見る。
15:00
半分が過ぎた。さてそろそろギラに入ろうか。
実は三つ編みの仕方すら知らない俺は投げ出してジェリーが歌い終わるまで髪で遊んでいた。
歌が終わる。
彼女の目を盗み、ブレスケアを口に放る。焦って3個口にしてしまった。
落ち着け、落ち着け。
計算しろ。
よし。
さて一度流した話題に移ろう。
私「ジェリーさ、結局なんで別れちゃったの?やっぱ気になってしょうがないや」
ジェリー「んー…」
ジェリーは語り出した。
彼氏歴は1人(中学は私の中でノーカン)。8ヶ月。別れの原因は他の女が彼氏の家に二人きりでいたところを目撃してしまったからであるらしい。矢倉れたというやつか。もともとその予兆はあったらしく、自分のことにもう飽きてしまったんだなと傷ついてしまったようだ。そんな彼女は見たことを自分から彼氏に告げることはせず、理由も語らずに別れを告げたらしい。NTRか…それはきついな。そう心から思った。そしてジェリーは優しい心の弱い子なんだなと私は感じた。
同じグループ内の彼氏だったから別れた後が大変だったようだ。友達にイベントで二人がはちあうことがないようしっかり根回しをしてくれたらしい。
私「その友達はちゃんとジェリーのことを考えてくれるすごい優しい人たちなんだね。いい友達をもってる人って素敵な人なんだぜ?だからジェリーもいい人なんだよ。」
ジェリー「うん…」
しょぼくれたような声。結構かわいいなと思った。一瞬だけスト値が3にまで上昇した気がした。
私「頭撫でられるの好き?」
ジェリー「うん。」
私「よーし」
撫で始める。
恥ずかしそうにしている。
ジェリー「そーやってー14人を落とすんだー。めもめも」
私「なにその俺がチャラいみたいな発言ー笑」
ジェリー「だってちゃらいもんー」
私「チャラいってなんだよ笑」
ジェリー「ぬー」
ジェリーは不満そうにしていた。そろそろ頃合いか。撫でていた手を外す。ジェリーの方へ向き直る。
私「ジェリー、俺に不満があるような顔しているね。なにが不満なん?言うてみ?一つ目っ」
ジェリー「チャラいとこー」
私「たまそれかいな笑 なんだよチャラいってー、14人いるのが?」
ジェリー「そうそれっ」
もう一度ルーティーンで言ったことをゆっくり説明していく。友達も当然含んでいること、ジェリーは特別だということとを四つ目の褒めとして使用。それに加えて実は今しばらく会っていない、ここに越してきてから彼女達の半分とは実は疎遠なんだと伝えた。
なんとか納得はしてくれたらしい。でもまだ釈然としていない。
私「はい、1個目はこれで大丈夫だね。次っ。二個目はなんだろう?」
ジェリー「んー…」
しばらく考えている。
思考が止まってしまってないか?不安になった。いい方を変えてみるか。もう一度点火してみるか。
私「さっきのに引っかかるけどさ、ジェリーにとって彼氏彼女の関係ってなに?」
ジェリー「信頼、かな…?」
即答。考えをちゃんとまとめていたみたいだ。思考はしていた。
ジェリー「お互いが信頼し合えて恋人の関係になるんだと思う。」
私「そうか、そうだよね。信頼出来ないと彼氏にはなってはダメだよね」
私「でも今隣同士でこんなに近い距離にお互いがいれるってことは少なくとも俺たちは他人同士ではないし、多少の信頼は築けているってことだよね」
ジェリー「そうだね」
私「てことは俺らは恋人同士ってこと?」
ジェリー「んー、それは…」
私「違う?まぁ付き合おう、うんとかいうやりとりはしてないものなお互い」
ジェリー「うん…」
私「ジェリーは俺のことどう思っているん?信頼は?」
ジェリー「信頼はしてる…でも」
ジェリー「まだ信頼しきっていない、ってことかな?」
私「信頼かぁ」
すぐさま切り返す
私「ジェリーにとって信頼ってなに?」
ジェリー「なんだろぅ…」
私「んー、難しいよな、信頼ってなかなか形に表せないものだよ」
おもむろに私はアンケート用のペンを拾い、ジェスチャーをはじめた。
私「たとえばさ、この線以上の信頼度が恋人としよう。んでジェリーにとっての俺は今、この線の8ミリ下を行き来しているとするよ?この8ミリは未知な世界で今ジェリーが俺に抱いている疑心暗鬼な気持ちなんじゃないかな?」
「んでさ、この8ミリが越えられれば晴れて恋人になれるってわけだ。でもなかなか越えられるもんじゃないよね。だからさ、俺は思うのだけれど、今はまだこのままでいいと思うよ」
「もしかしたらこの8ミリはジェリーにとって良いものかもしれない。だからゆっくり時間かけてお互いを知っていければいいんじゃないかな?」
ジェリー「うん…そうかも」
私「てか、その花柄かわいいね。どこで買ったん?」
ジェリー「えっ?えっとね…」
契約打診。
キスギラ。
ノーグダ。
そのまま肩を抱く。
はじめは軽く、徐々に口をつける回数を増やし、徐々に口をつける時間を伸ばしていく。
口をつけるたびに彼女の吐息が漏れていった。
焦らす。焦らす焦らす。舌は出さない。息を吹きかけたりつついたり、つけたままにしたり。
すると彼女から舌を出してきた。私はその舌を私の舌でつつみ込むようにしながら、小出しで私を求めようとする彼女の舌を受け入れた。
________
描写をかくと疲れるため今回はかるく。いつかは官能小説ばりの描写が書けるようになりたい。
パイもみまでで、手マソは活かせられるほど触らせてはくれなかった。
本契約を迫ったがここじゃダメ。今日はダメ。ダメ。とのこと。時間もあまりないし、私があえて設定した仕事の時間も迫っている。結局本契約のグダは崩すことはできなかった。
彼女は感度が著しく良く、特に左乳首が強く感じるようであった。刺激をするたびに足をガクガク震えさせていた。いかせられたかもしれない。
さらに私のウェポンは意気消沈していた。どのみちできやしなかった。
結局契約はできなかったが、彼女を見とことん弄ぶことはできた。
純粋に楽しかったし契約を完了した時みたいに嬉しかった。
時間となったためカラオケルームをお互い手をつなぎながら出る。彼女はこれからピアノのレッスンだ。それぞれの用事がこれからあるため解散となる。
私の初アポが終わった。
契約はできなかった。
悔しかった。
仮契約如きで喜んではいけない。
私が目指すところは即。準速で契約を結べない三流だ。
しかし
喜びは隠せなかった。
だから隠すのをやめた。営業をして女の子と初めてキスをした。体を弄び吐息を聴くことができた。
この事実に今日の私は喜んで良いと思う。
明日から連絡がこないかもしれない。
もしかしたらアポをまた取り付けることができ、準々即を狙うことができるかもしれない。
どちらかを選ぶのは彼女だ。
私はただ、私と出会って今私の隣にいてくれている彼女に感謝をしよう。
「またね」
声がかぶる。
自然とミラーリングしていた。
仮契約を交わしたことでより深いラポールが形成され、ミラーリングを促したのだろう。
お互い笑顔で解散した。
彼女はレギンスに滲み出るほど濡れていた。よほど感じやすい体なのだろう。
彼女のあそこは確かに濡れたのだろう。逝ったかどうかは定かではないが。
だがその濡れた股でピアノレッスンしても大丈夫なのか?不安になった。
彼女を見送り私も歩み出す。
股に違和感を感じた。パンツが濡れている。
グダついていた私のあそこもまた彼女のそれとミラーリングしていた。
Check。
・大袈裟な褒めが多くなってしまったが順番通りに褒め理論を展開できた。
・褒めすぎは疑心感を深める。小出しに使っていた褒めは削ったほうがいいかもしれない。が、どうせならそのままのこしてみて、言い方を変えてみたりする。例えば後ろにネグをつけてみるとか。そうするといやらしさは薄れ、疑心感は晴れていくのではないかと推測できる。
・知識に縛られずに行動したい。行動の中で知識を理解したり新しく発見したりするのは良いが知識に行動が縛られてはいけない。
・強力なルーティーンは使う側にも影響が出ることがあるため使用者を選ぶ。使えるべく使用者になるには自信と度胸が大事。慣れないルーティーンはハッタリでするしかないが鋭い女性は勘づくし、せっかくの格上げのためのルーティーンが逆効果になり、大きく格下げられることになる。自信は経験を重ねることしか身につけることはできない。
Action。
・小出しの褒めは表情を真逆にしたり、ネグを入れたりしていやらしさをなくせ。
・小出し褒めは褒め④への布石。褒め④では真面目な顔で中身を受け入れるように決めること。
・ルーティーンを使いこなす自信を持て。自信なくやるんだったら根拠なんてなくていい胸張れ。
・時間を守ろう。時間をきっちり守ってこそのPUM的主体性である。
・常に新しいものを得る心意気であること。脳内の知識に縛られない。
・マインドを揺るがなく持ち続ける
・ルーティーンや理論をフルに使用、出し惜しみせず適材適所で使用する。
・1即をする。
Do。
14:00 晴れ、ヒートテック二枚重ねはもう辛いレベルの気温。
私は某駅にて営業を開始して初めてのアポの相手となるジェリーと待ち合わせをしていた。集合時間まで後5分。駅の綺麗に清掃された公衆トイレの鏡の前で最終確認を行う。
腹ごしらえよし、からのブレスケアよし、爪…深爪だけどよし、肩のフケなし、鼻毛なし、ヒゲのソリ残し…良かった…なし、ルーティーンセット…よし。
ミリオンダラースマイルは…?
_______スマイル率78、今のところ安定しています。
残金は…?
_______6000!いつでも行けます!!
マインドはなんだ?
_______…即契約することです!!!
qb初号機、リフトオン!
初即を目指し、いざ出陣。
頭の中で某人造人間アニメの戦闘曲が流れる。今日は何だろう。気持ちが軽やかだ。準即デートは初経験で、昨夜はちゃんと眠ることができず、30分前には目をこすりながら駅前で急遽買った爪切りでうっかり深爪したばかり筈なのに頭の中は以外にもはっきりとしていた。
絶対に即してやる。
1日でも早く一流と言われるくらいのPUMになりたい。
近づきたいんだ。
強い熱意、目標、意気込みがない限り成長をすることができない。失敗を恐れずに全力で挑まなければいけないことは声かけのノックの最終日に気付かされたことだった。勿論不安はあった。テンパってルーティーンや褒め理論が真っ白になるかもしれない。ネグりすぎて失礼をしてしまうかもしれない。ギラついた時に大きくグダつかれてもう会えなくなるかもしれない。それならそれで構わない。反省は全て終えてからするんだ。
「PUMは捨てる覚悟を併せ持つ」
今全力で行こうと決意した。
私が色んな思いを馳せている中、彼女はやってきた。
データ
歳 26歳
職 アパレル
顔 トムとジェリーのジェリー。
値 スト値2(顔面偏差値53)
概 プレデート済み、恋愛観の引き出しまだ。彼氏しばらくおらず、ヒトカラガチ勢。
ジェリー「やっ!」
スト値2の彼女。私的顔面偏差値でいうところ53の彼女は、以前会ったジェリーよりも化粧映えがいい。化粧の力は偉大だ。今日は55かもしれない。そのためか以前会った時よりも笑顔が見られた。
すかさず今日第一声目の褒めを口にする。
私「おやっ?前会った時より綺麗な顔になったね。君、本当にジェリー?」
ジェリー「なにそれー」
目を細め、彼女は控えめに笑う。私が褒めると、彼女はよく恥ずかしがっているような姿をみせた。
この褒めは別に事前に用意していたわけではない。笑をとるための褒めはないかと自然と口から出た言葉だった。
今思えば我ながらアメリカンな発言すぎて笑えてしまう。いやらしさが出ていそうで不安だ。改善策を考える必要がある。
たわいもない挨拶をしながら今日の戦地へ赴く。その途中でジェリーの今日この後の予定を聞く。
ジェリー「今日はピアノ教室にいくの」
私「ピアノ?!してたんだ。へぇ何歳から?」
ジェリー「物心ついた時には既に」
私「ちっちゃい頃からかい。すげーな。ジェリーってつつけば突くほど隠し芸でてくる笑」
ジェリー「そんな笑 でもね、高校入ってやめちゃったんだ。最近またはじめたの」
私「なるほどね。でもあれでしょ?絶対音感はあるんでしょ?」
ジェリー「んー、忘れちゃったかもー笑」
私「絶対音感って忘れるものじゃないじゃない?笑」
ジェリー「笑」
私「ほー。今日の場所は音楽最強の力を持つジェリーの独壇場を見ることができそうだね」
我々はカラオケボックスへ足を運んだ。良くヒトカラをするらしい彼女。それならばということで前回のプレデートで今日のアポを打診し、今に至る。
カラオケボックスは営業師にとって多く使われる即スポットだ。初めての即を狙うにあたり成功率を高めるためにも成功者の真似を環境から真似ていかねばならない。カラオケボックスは好都合であったのだ。
時間制限を聞かれる…大抵の場合、1であるらしい。そのまま答えようとするが一瞬悩んだ。
…和みを十分に行いたい。カラオケをするのも約束している。全く歌わないのは不自然だ。ここは……
私「二時間で」
ジェリー「大丈夫?仕事は?」
私「今日は7時からだから大丈夫だよ」
プロであればあるほど短時間でことを済ますことができる。だが今の私はまだ初心者なのだ。効率的に会話で相手を気持ち良くさせ、ギラつくまでのメゾットが頭の中には入り込んでいない。
多少会話に無駄があり時間がかかることを想定して私は二倍の量にしてみた。これが吉と出るか、凶と出るか…
ドリンクを選ぶ。
ミラーリングだ。彼女と同じものにした。
…これはミラーリングなのだろうか。
違う気もする。
私は以前からこのミラーリングをよく使っていた。同じ足を組む、同じ頬をつく。
…ぎこちなくなってそうな。
私はネットで地蔵をしていたから知識だけは膨大にある。だがそれをちゃんと使いこなしているか?
実際のところ知識に振り回されてしまっている感はある。なぜかと言われれば二真似のミラーリングをすることで成果が得られた、とは感じられないからだ。
そんなふうにふと思った。
何でもかんでも知識を使うんじゃなくて出しどころをよく考えたりアレンジしたりすればどうだ?
そう思った。
「すみません、やっぱ俺は烏龍茶で」
案内された部屋に入る。私は入り口側に座り、彼女は私と対面するように座った。
さて、ギラつくにはまず身体的接触が可能な距離…隣り合わせが必須であるが。
いや今はこのままでいい。あくまでカラオケをしに来ているのだからまずは自然に、段階を踏んで攻めよう。
彼女が上着、モッズコートを脱ぐ。深緑の中から可愛らしいまるで春色な服が露わになった。
私「わっ!脱いだらおしゃれ!こういう色の服も着るんだね。ジェリー服えらぶセンスいいよなぁ」
ジェリー「あ、ありがとございます笑」
私「なんで敬語ねん笑」
ジェリー「だってさぁー笑 はいマイク、初手どーぞ笑」
私「えー、半年ぶりの俺に初手わたすー?笑」
我(私の歌を、キケェエエエイ)
初手に歌いながら4分半の曲の中で二時間で即するためのゲームメイキングを必死に考えた。つい二番目の歌詞が飛んでしまう。…が、その代償に10分後に自然と近寄れる口実を思いついた。今日は歌いに来たのではない。契約をしに来たのだ!そもそも私が本当に歌いたい曲はこんなカラオケランキングで常に上位にあるなぁなぁなでゆるい曲なんかではないのだ。デスボとシャウトを効かせた…
ジェリー「まさかのうまい人だった!」
曲が終わった後、ふいにジェリーに褒められる。やられた!とっさ過ぎて私がトランスに入ってしまったではないか!人を褒める営業師なのに褒められるのには弱いPUMの私は動揺を悟られぬようすぐさま切り返す。
私「なーにいってんの。ジェリーヒトカラマスターで絶対音感持ちでしょー?富士山ばりの高みから褒められても困りますよ先輩笑」
ジェリー「まーねーって…ちょっとなんかハードル上がってるのだけど?笑」
私「笑」
ジェリー「急に緊張してきた笑」
ジェリーの番。流石だった。彼女は私の以前私がアルバム持っているといった曲の中から歌ってくれた。実は持っていないのだがPV曲なので手拍子の場所を曲の1番で把握。二番目からPVのアーティストに合わせて手を叩いたいて知っている、乗っている、聞いている風を出させる。これは私の不毛なAFC期、大学時代の初頭に身につけた技であった。過去に学んだもの全てが悪いわけではない。この技はカラオケならばどんな場でも盛り上げに使える。相手の曲を聴かずアイポッドをみて自分の歌いたい曲を探すという行為はグループでも気分のいいことではないし、そもそも私にアイポッドなんてなかった。
彼女の番が終わる。全然ダメと言っているが全くだ。かなりうまい。何処がダメなのだろうか?具体的に教えてもらいたいレベルだ。
2、3回歌い合う。
グリーンの愛歌はPVが長めのため歌いの応酬でトークを切り出すために使える、そう感じた。しかし練習が必要。本当に半年ぶりに歌った私は愛歌の序盤、余裕で声がかすれることを察した。高音が最後まで持たない場合は前半を歌詞が飛んでしまった風にズタボロで笑いを取りながらノドの域帯を調節しつつ、最後のサビをしっかりと歌い受けをとる、というこれまたAFC期に編み出した唯一の遺産を使い、なんとか成し遂げることができた。
ジェリー「やっぱうたえるんじゃーん笑」
私「笑」
狙い通りの反応に安堵した。
さあ遊びは終わりだ。仕掛けるぞ。
ジェリーが歌う。バラード。デンモクを持ちつつ、私もそれに合わせて肩を揺らす。画面を見ながら、まるで聞き入っているかのように。まぁ実際にうまいので本当に聞き入れたのだけれど。
曲が終わる。
私「いや、すげーうまい。声めっちゃ綺麗。努力してるだけあるよね。ほんと」
ジェリー「いや、今日ダメだからほんと笑」
私「何処がダメなのか教えてもらいたいのだが笑」
ジェリー「すごく緊張してるから笑」
私「そんなに緊張してるん?笑 なんで?笑 俺に緊張してん?笑」
ジェリー「うーー笑」
私「てかうまいから聞き入っちゃったよ。次何入れようかね」
ジェリー「そんなにがっつり聞かないで笑」
私「ほんとにうまいんだって。ねね、福山雅治は知ってるよね?」
ジェリー「知ってるよー」
私「めっちゃ悩んでんだけどさ、どれ歌おうかなぁ、ジェリーきめてよ」
ここでデンモクを持ってジェリーの横に座り彼女と一緒に次に私が歌う歌を決めさせる。
これで自然と真横に位置取ることができた。
探しながら今日の目的である恋愛観の話題の引き出しに入る。
「そいやいつからいないんだっけ、彼氏」
今はいないことは把握済みなので何人いルーティーンは省いた。別れたのは数ヶ月前。なんで別れたのか聞く
と顔が曇る。
私「あんまいい別れ方しなかったみたいだね」
ジェリー「んー…君はどうなの?」
返答が返ってくる。気まずさの切り返しか。だが初めて私に対して質問をした。食いつきは余裕で良好と見ていいだろうか。私はあのルーティーンを切り出した。
私「俺?彼女は14人いるよ」
真顔で返す私。14人彼女ルーティーン。驚く彼女。
ジェリー「うそでしょー?笑」
と笑う。それに平然に真顔をつくり返答する。
私「女友達も含めて、だけどね。だからジェリーも入ってるよ」
ジェリー「ってことは私、15番目ってこと?笑」
笑っているが笑顔ではない。苦笑いというか引き笑いというか。
私の中で戦慄が走った。
しくったか?失敗したか?と私は思った。この引き笑いがどんな意味を持っているのか今の私にはわからない。少なくとも心は揺らいでいることは確かだ。しかもマイナス側に。それが目的のルーティーンなのだ。
このマイナス側の揺れ幅が拒絶の意味となるか、希望に変えられるものとなるのかこの後のフォローできまる。そしてそのフォローはルーティーンにくみこまれている。
強力なルーティーンは女性に効く。だがその使用者も例外ではなく、意味をしっかりと理解して淡々と使いこなせるレベルになっていないとルーティーンの効力が自分自信を恐怖に飲み込み、口が回らなくさせてしまう。飲まれた末路が見える。
…正に文字通り、本末転倒だ。
私はルーティーンを使ってその強力な効力に負けそうになってしまっていた。予定調和に恐怖した。
効力に飲まれず本末転倒にならない方法。それはただただ淡々とルーティーンを順番通りに進めるしかない。
私「俺は信頼できたり尊敬できるひとほど大切にしている。ジェリーは一緒にいて楽しいし仕事熱心で尊敬できる存在だから俺にとってこの中でも特別な存在だよ」
言えただろうか?ほぼ無心で言っていた。特に最後の部分、ここが重要なのだが言えただろうか?
ジェリー「うん…」
私「それはそうとさ、これいいんじゃない。桜坂。めっちゃいい曲だよな、出だし忘れたけど」
ジェリー「忘れたのかーい笑」
歌う。彼女もデンモクに曲を入れる。私が聞き入る。曲を入れない。さぁまた話すターンとなった。
明るい話題に切り替えよう。
私「ジェリーは甘えん坊だよね?」
ジェリー「えっ?うーん、そだねぇ」
私「どうやって彼氏に甘えるの?」
ジェリー「えー、どうやってってか…」
悩むジェリー。ジェリーは職業柄人の話は話半分に聞く癖があり、受け答えも適当になってしまうことがあるらしい。だからそんな適当な返答をした時は、今適当に答えたでしょ笑と突っ込むようにしていた。
だがこの質問では彼女はトランスに入っている。少しだけ「彼氏」の部分をゆっくり強めに発言してみた。そのことで彼女のコンプレックスに入り込みちゃんと考えざるを得なくなる状況を作り出させてみた。
だが答えは出ない。
出かかっているように見えるが恥ずかしいのだろう。
私「口に表すの恥ずかしそうだね。実際に俺にやってみてよ。」
ジェリー「えーーはずかしいよぉ笑」
私「大丈夫大丈夫、ただのテストだから笑 どれくらいの甘えん坊さんなのか点数つけてあげるよ笑」
ジェリー「てすと?笑」
笑がある。タッチテスト。話しながら肩に手を置いてみたりする。拒絶はない。だが向こうからくることもなさげである。なるほど、来るもの拒まない状態だな。ならば私が彼女に方向性を持たさねばならない。
私「甘える時、手は握るよね?」
ジェリー「そだね、うん」
回答に詰まりがない=彼女の適当返答モードではないを確信。そのまま私はハンドテストに入った。彼女の手を貝殻繋ぎ一歩手前、指を緩めた状態まで持っていく。
ジェリーは自ら握ってきた。
なるほど、だんだんジェリーの本質が見えてきた。今の彼女はある程度の距離まで条件を譲歩すれば自ら私に歩み寄ってくる。私も握り返してみた。
私「あー、いいじゃない。貝殻繋ぎっていいよね。俺、ほんわかする笑」
手を握ったまま会話をする。
私「一人っ子だよね」
ジェリー「そだよー、あれ言ったっけ?」
私「いいや、勘だよ。周りには結構おねぇさんみたいって言われない?」
ジェリー「あたりー、よくわかるね!」
私「ジェリーが本当の甘えん坊さんなの今確信したから笑 ギャップがあるジェリーは素敵だと思う」
スト高ではないため優しく発言していく。実際はんー、とか、そだねぇとかの相槌、所謂脳のオナラが出てしまっていた。改善してスラスラ言えるようにならねば。
だがやはりルーティーンで言わずにアドリブでいえるとちゃんと言えたかどうか頭の中にも残っている。ルーティーンもアドリブど同様レベルにからだに染み込ませたいものだ。
それにしても今日はアドリブが冴えている。目を見て話すこともできている。目が合い私はすぐに視線を外すと、
私「この上着どこで買ったの?」
ジェリー「えっ?これ。」
私「ねぇね。ジェリーってさ。目綺麗だよね。」
ジェリー「えっ…う…誰も言わないよそんなの」
私「えー、ウソだぁ。すごく綺麗だよ?目そらさんで。ちゃんと見せて。」
ジェリー「はずかしいって…」
私の中のアドリブはノリノリのようだ。ルーティーンの戦慄がウソのように心が軽やかで口走る。だがあまり攻めすぎるのもよくない。序破Q。緩急つけねばいけない。切り替えだ。
私「これ歌ってよ」
リクエストに応じてもらう。意気揚々と歌っている。やっぱりうまい。間奏のところでヘアタッチを試みた。アサペン氏を筆頭に色々な営業師の方々が使用する三つ編みルーティーン。
ジェリー「たぶんできないよ。パーマだし」
私「任せろよ?負けねぇですっ。俺の三つ編み愛はパーマには屈しない!」
ジェリー「もー笑」
私「あ、ごっそり毛が抜けてはげちゃったらごめんね。そうなっちゃったらリーブ21通うだけのお金は払うから」
ジェリー「やだぁー笑 それだけはやめてね?笑」
三つ編みをしながらケータイで時計を見る。
15:00
半分が過ぎた。さてそろそろギラに入ろうか。
実は三つ編みの仕方すら知らない俺は投げ出してジェリーが歌い終わるまで髪で遊んでいた。
歌が終わる。
彼女の目を盗み、ブレスケアを口に放る。焦って3個口にしてしまった。
落ち着け、落ち着け。
計算しろ。
よし。
さて一度流した話題に移ろう。
私「ジェリーさ、結局なんで別れちゃったの?やっぱ気になってしょうがないや」
ジェリー「んー…」
ジェリーは語り出した。
彼氏歴は1人(中学は私の中でノーカン)。8ヶ月。別れの原因は他の女が彼氏の家に二人きりでいたところを目撃してしまったからであるらしい。矢倉れたというやつか。もともとその予兆はあったらしく、自分のことにもう飽きてしまったんだなと傷ついてしまったようだ。そんな彼女は見たことを自分から彼氏に告げることはせず、理由も語らずに別れを告げたらしい。NTRか…それはきついな。そう心から思った。そしてジェリーは優しい心の弱い子なんだなと私は感じた。
同じグループ内の彼氏だったから別れた後が大変だったようだ。友達にイベントで二人がはちあうことがないようしっかり根回しをしてくれたらしい。
私「その友達はちゃんとジェリーのことを考えてくれるすごい優しい人たちなんだね。いい友達をもってる人って素敵な人なんだぜ?だからジェリーもいい人なんだよ。」
ジェリー「うん…」
しょぼくれたような声。結構かわいいなと思った。一瞬だけスト値が3にまで上昇した気がした。
私「頭撫でられるの好き?」
ジェリー「うん。」
私「よーし」
撫で始める。
恥ずかしそうにしている。
ジェリー「そーやってー14人を落とすんだー。めもめも」
私「なにその俺がチャラいみたいな発言ー笑」
ジェリー「だってちゃらいもんー」
私「チャラいってなんだよ笑」
ジェリー「ぬー」
ジェリーは不満そうにしていた。そろそろ頃合いか。撫でていた手を外す。ジェリーの方へ向き直る。
私「ジェリー、俺に不満があるような顔しているね。なにが不満なん?言うてみ?一つ目っ」
ジェリー「チャラいとこー」
私「たまそれかいな笑 なんだよチャラいってー、14人いるのが?」
ジェリー「そうそれっ」
もう一度ルーティーンで言ったことをゆっくり説明していく。友達も当然含んでいること、ジェリーは特別だということとを四つ目の褒めとして使用。それに加えて実は今しばらく会っていない、ここに越してきてから彼女達の半分とは実は疎遠なんだと伝えた。
なんとか納得はしてくれたらしい。でもまだ釈然としていない。
私「はい、1個目はこれで大丈夫だね。次っ。二個目はなんだろう?」
ジェリー「んー…」
しばらく考えている。
思考が止まってしまってないか?不安になった。いい方を変えてみるか。もう一度点火してみるか。
私「さっきのに引っかかるけどさ、ジェリーにとって彼氏彼女の関係ってなに?」
ジェリー「信頼、かな…?」
即答。考えをちゃんとまとめていたみたいだ。思考はしていた。
ジェリー「お互いが信頼し合えて恋人の関係になるんだと思う。」
私「そうか、そうだよね。信頼出来ないと彼氏にはなってはダメだよね」
私「でも今隣同士でこんなに近い距離にお互いがいれるってことは少なくとも俺たちは他人同士ではないし、多少の信頼は築けているってことだよね」
ジェリー「そうだね」
私「てことは俺らは恋人同士ってこと?」
ジェリー「んー、それは…」
私「違う?まぁ付き合おう、うんとかいうやりとりはしてないものなお互い」
ジェリー「うん…」
私「ジェリーは俺のことどう思っているん?信頼は?」
ジェリー「信頼はしてる…でも」
ジェリー「まだ信頼しきっていない、ってことかな?」
私「信頼かぁ」
すぐさま切り返す
私「ジェリーにとって信頼ってなに?」
ジェリー「なんだろぅ…」
私「んー、難しいよな、信頼ってなかなか形に表せないものだよ」
おもむろに私はアンケート用のペンを拾い、ジェスチャーをはじめた。
私「たとえばさ、この線以上の信頼度が恋人としよう。んでジェリーにとっての俺は今、この線の8ミリ下を行き来しているとするよ?この8ミリは未知な世界で今ジェリーが俺に抱いている疑心暗鬼な気持ちなんじゃないかな?」
「んでさ、この8ミリが越えられれば晴れて恋人になれるってわけだ。でもなかなか越えられるもんじゃないよね。だからさ、俺は思うのだけれど、今はまだこのままでいいと思うよ」
「もしかしたらこの8ミリはジェリーにとって良いものかもしれない。だからゆっくり時間かけてお互いを知っていければいいんじゃないかな?」
ジェリー「うん…そうかも」
私「てか、その花柄かわいいね。どこで買ったん?」
ジェリー「えっ?えっとね…」
契約打診。
キスギラ。
ノーグダ。
そのまま肩を抱く。
はじめは軽く、徐々に口をつける回数を増やし、徐々に口をつける時間を伸ばしていく。
口をつけるたびに彼女の吐息が漏れていった。
焦らす。焦らす焦らす。舌は出さない。息を吹きかけたりつついたり、つけたままにしたり。
すると彼女から舌を出してきた。私はその舌を私の舌でつつみ込むようにしながら、小出しで私を求めようとする彼女の舌を受け入れた。
________
描写をかくと疲れるため今回はかるく。いつかは官能小説ばりの描写が書けるようになりたい。
パイもみまでで、手マソは活かせられるほど触らせてはくれなかった。
本契約を迫ったがここじゃダメ。今日はダメ。ダメ。とのこと。時間もあまりないし、私があえて設定した仕事の時間も迫っている。結局本契約のグダは崩すことはできなかった。
彼女は感度が著しく良く、特に左乳首が強く感じるようであった。刺激をするたびに足をガクガク震えさせていた。いかせられたかもしれない。
さらに私のウェポンは意気消沈していた。どのみちできやしなかった。
結局契約はできなかったが、彼女を見とことん弄ぶことはできた。
純粋に楽しかったし契約を完了した時みたいに嬉しかった。
時間となったためカラオケルームをお互い手をつなぎながら出る。彼女はこれからピアノのレッスンだ。それぞれの用事がこれからあるため解散となる。
私の初アポが終わった。
契約はできなかった。
悔しかった。
仮契約如きで喜んではいけない。
私が目指すところは即。準速で契約を結べない三流だ。
しかし
喜びは隠せなかった。
だから隠すのをやめた。営業をして女の子と初めてキスをした。体を弄び吐息を聴くことができた。
この事実に今日の私は喜んで良いと思う。
明日から連絡がこないかもしれない。
もしかしたらアポをまた取り付けることができ、準々即を狙うことができるかもしれない。
どちらかを選ぶのは彼女だ。
私はただ、私と出会って今私の隣にいてくれている彼女に感謝をしよう。
「またね」
声がかぶる。
自然とミラーリングしていた。
仮契約を交わしたことでより深いラポールが形成され、ミラーリングを促したのだろう。
お互い笑顔で解散した。
彼女はレギンスに滲み出るほど濡れていた。よほど感じやすい体なのだろう。
彼女のあそこは確かに濡れたのだろう。逝ったかどうかは定かではないが。
だがその濡れた股でピアノレッスンしても大丈夫なのか?不安になった。
彼女を見送り私も歩み出す。
股に違和感を感じた。パンツが濡れている。
グダついていた私のあそこもまた彼女のそれとミラーリングしていた。
Check。
・大袈裟な褒めが多くなってしまったが順番通りに褒め理論を展開できた。
・褒めすぎは疑心感を深める。小出しに使っていた褒めは削ったほうがいいかもしれない。が、どうせならそのままのこしてみて、言い方を変えてみたりする。例えば後ろにネグをつけてみるとか。そうするといやらしさは薄れ、疑心感は晴れていくのではないかと推測できる。
・知識に縛られずに行動したい。行動の中で知識を理解したり新しく発見したりするのは良いが知識に行動が縛られてはいけない。
・強力なルーティーンは使う側にも影響が出ることがあるため使用者を選ぶ。使えるべく使用者になるには自信と度胸が大事。慣れないルーティーンはハッタリでするしかないが鋭い女性は勘づくし、せっかくの格上げのためのルーティーンが逆効果になり、大きく格下げられることになる。自信は経験を重ねることしか身につけることはできない。
Action。
・小出しの褒めは表情を真逆にしたり、ネグを入れたりしていやらしさをなくせ。
・小出し褒めは褒め④への布石。褒め④では真面目な顔で中身を受け入れるように決めること。
・ルーティーンを使いこなす自信を持て。自信なくやるんだったら根拠なんてなくていい胸張れ。
・時間を守ろう。時間をきっちり守ってこそのPUM的主体性である。
・常に新しいものを得る心意気であること。脳内の知識に縛られない。