【纏わり付く重油】声かけ240 ノック〜二日目〜
- 2015/03/21
- 23:25
地蔵。
営業界隈において使われる専門用語のひとつ。営業をしに来たにも関わらず声かけもせずに立ったままの状態のことを言う。
理由は人それぞれだろう。
人の目の羞恥心
拒絶反応の恐怖
かけねば始まらないのに地蔵は見えないなにかと必死に戦っている。
私は今日、地蔵になった。
池袋。18:30。
一人目。学生風
「あのっ」
「?、はい?」
「すみません、サンシャインってどこにあります?」
「こっち!」
「こっち?」
「じゃなーくてこっちです」
「なるほど、あ、もしかしてお姉さん、これからサンシャインいく?」
「はい、サンシャインですね」
「よかったらついてってもいいかな?俺さ、50年ぶりにインドネシアから来て右も左もわからんくてさ…」
「えっ、えぇ?!笑」
「はい、さんきゅ!ありがとぉ!」
平行トーク。彼女の情報を引き出していく。
18才。来年からMarch学生。都内すみ。今日は買い物。サンシャインにはよく遊びに来る。森ガール的な服が好き。
池袋は確かに初心者な私だ。池袋についてサンシャインについてよく聞く。なるほど、サンシャインシティといってかなり広いらしい。ここはチェックポイントだな。
サンシャインビル、とやらにつく。待ち合わせの場所だと設定した場所だ。さて、彼女とはここでさらばだ。目の前にはサブウェイ、ここに連れ出してから十分に和んだあと価値観を十分に引き出し同意してやれば逆番を示唆させたり打診をかければいい。が
「ねね、今度池袋教えてよ。番号交換しない?」
おい!和めてない!何をやっている!はやまった!相手の警戒心まだとけてない!そんなことしたら
「ば、番号は、ダメですっ」
拒絶。そりゃそうだ。彼女はまだ俺のことをしらない。話はきちんと聞いていた。だからちゃんとした言い訳を用意してあげてだんだんと距離を積めていくんだ。段階踏んで、価値観を引き出したあとでないと。
なに。次がある。ウォーミングアップにしちゃ上出来だろ。
ありがとう、と言い彼女と別れた。
彼女の顔を見る。なにか、体の全身に、粘性がある重く暗い色をした液体、油か?そのような何かが体の中で薄く伸ばされ貼り付いていくような違和感を感じた。
二人目。OL
「ねぇねぇ」ちらとこちらをみる
「何してたの?」ガンシカ早足逃げ
三人目。OL
「ねぇねぇ」
「はい?」イヤフォンはずす
「きれいな花柄だね、花屋さんでかったの?」
「違います笑」
「えー違うの?本物のはなみたいだよ」
「笑」
(花すきなん?)
(ところで今日はどちらまで?)
(俺さ、待ち合わせなんだけどさ)
これらの言葉が出れば今の私には上出来だろう。
違和感。
全身に張り付いた薄いあの油がまた張り付いていく。
その時ふと彼女の顔みた。私の頭からはこれらの思考は最初からなかったかのように消えてなくなってしまった。
「じゃーね」
自らその場を去った。
足取りが重い。
粘り着く。気分が悪くなる。
彼女たちのあの顔を思い出さないようにするが、出てきてしまう。
私は無理やり足を動かす。
気のせいだ。幻覚だ。あの顔を必死に無視しようとする。
四人目。清楚ギャル
「ねぇね」
「?」
「こんばんは、靴がさ、めちゃめちゃきれいでつい声かけてしまったよ」
「は、はぁ、」
「どこいってたん?」
「服買ってました」
「へぇ服。どこで?」
「、」
「あ、ウィゴーね」
「、」
「これからどこいくん?」
「帰ります」
「おっ、帰るんだ。俺さ、」
「、」
違和感。まただ。さっきより重たい。なんだよさっきからこの重いモノは。
彼女の顔は、まただ…
彼女もまた、前の彼女たちと同じような顔をした。
つまらなそうな。軽蔑のような。
話に興味がないような。
冷たい眼差し。口角の下がった口元。
「ありがと、気をつけて帰ってな」
震えないように必死に声を振り絞る。
挨拶だけは、忘れてはだめだ…
五人目。学生風
「ねぇ」
「」ガンシカ、いやイヤフォンだ。
「ね…」
「」いや此方に気がついていないだけ。もう一度かけるんだ。
21:05
私の今日の声かけが終わった。
一番人通りの多い場所のとある柱に寄りかかり道行く人を眺めている。
いける
いける
いける
いけるいける
またいける
なぜ行かない。
なぜ行けない。
いけると思うたびに足が固まり、足が固まるたびにドロドロした暗い色の油が体に付着していく。気持ちが悪い。何が気持ちが悪いかって、今日35人分の声かけを放棄し逃避した自分自身がだ。交通費2000円強をゴミ箱へ。今日私は私のせいで時間と金と夢を台無しにしやがったんだ。そう思うたびにどんどんどんどん油は体に付着してった。
五声かけ
考察
・平均的欲求不満男子。こうはなりたくなかったが、主体的に取り組めなかった私はコレだ。
・女性は鏡。こちらが楽しそうな顔をすれば女性にもうつる。
・話している時思考が止まる。冷静になれるまであと何回だ?女性と話すのは楽しい。笑顔を作るのは楽しい。創造を現実に変えられるのはいつか?
・営業師は見えないなにかと戦っている。それは人によっては大したことのないものだが、ある人にとってはとても苦しい毒となる。が、どんな人でも戦いを積むことによってそれは希釈され、ほぼゼロの存在となる。
・今日の私は地蔵をした。理由はひとつ。女性に拒絶されるのが怖いと感じたからだ。営業をかけることで実際に拒絶されることが多い。いや、殆ど拒絶。だから拒絶を楽しめる位にならねばならない。
・やればできる。向こうが此方に気がついてはじめて始まる。
・声をかけることが死ぬこととと同義ならば死にまくるほかない。人生で死と同価値の経験を何度もしている人間は何人いる?そうはいない。自分にとって特別な存在になるのだ。
・PUA振られることを楽しむ。この事について深く考えてみる。が、そんなことできんのか?ググったけれどもあるわけない。自分のマインドを強く変えて維持する必要がある。
・地蔵は金と時間の無駄。人々からは情けない扱いを受ける。とにかく最悪。低予算でやってるんだからやっぱりはよう死ね。
考察まとめ。
・振られることを楽しめ。失敗は考察の元。だからこそ楽しめ。
・軽蔑の目をみても笑えるような懐の広いドエムになれ。キツイ時ほど笑顔に。
・ノルマを守れ。明日は+10にせねば
営業界隈において使われる専門用語のひとつ。営業をしに来たにも関わらず声かけもせずに立ったままの状態のことを言う。
理由は人それぞれだろう。
人の目の羞恥心
拒絶反応の恐怖
かけねば始まらないのに地蔵は見えないなにかと必死に戦っている。
私は今日、地蔵になった。
池袋。18:30。
一人目。学生風
「あのっ」
「?、はい?」
「すみません、サンシャインってどこにあります?」
「こっち!」
「こっち?」
「じゃなーくてこっちです」
「なるほど、あ、もしかしてお姉さん、これからサンシャインいく?」
「はい、サンシャインですね」
「よかったらついてってもいいかな?俺さ、50年ぶりにインドネシアから来て右も左もわからんくてさ…」
「えっ、えぇ?!笑」
「はい、さんきゅ!ありがとぉ!」
平行トーク。彼女の情報を引き出していく。
18才。来年からMarch学生。都内すみ。今日は買い物。サンシャインにはよく遊びに来る。森ガール的な服が好き。
池袋は確かに初心者な私だ。池袋についてサンシャインについてよく聞く。なるほど、サンシャインシティといってかなり広いらしい。ここはチェックポイントだな。
サンシャインビル、とやらにつく。待ち合わせの場所だと設定した場所だ。さて、彼女とはここでさらばだ。目の前にはサブウェイ、ここに連れ出してから十分に和んだあと価値観を十分に引き出し同意してやれば逆番を示唆させたり打診をかければいい。が
「ねね、今度池袋教えてよ。番号交換しない?」
おい!和めてない!何をやっている!はやまった!相手の警戒心まだとけてない!そんなことしたら
「ば、番号は、ダメですっ」
拒絶。そりゃそうだ。彼女はまだ俺のことをしらない。話はきちんと聞いていた。だからちゃんとした言い訳を用意してあげてだんだんと距離を積めていくんだ。段階踏んで、価値観を引き出したあとでないと。
なに。次がある。ウォーミングアップにしちゃ上出来だろ。
ありがとう、と言い彼女と別れた。
彼女の顔を見る。なにか、体の全身に、粘性がある重く暗い色をした液体、油か?そのような何かが体の中で薄く伸ばされ貼り付いていくような違和感を感じた。
二人目。OL
「ねぇねぇ」ちらとこちらをみる
「何してたの?」ガンシカ早足逃げ
三人目。OL
「ねぇねぇ」
「はい?」イヤフォンはずす
「きれいな花柄だね、花屋さんでかったの?」
「違います笑」
「えー違うの?本物のはなみたいだよ」
「笑」
(花すきなん?)
(ところで今日はどちらまで?)
(俺さ、待ち合わせなんだけどさ)
これらの言葉が出れば今の私には上出来だろう。
違和感。
全身に張り付いた薄いあの油がまた張り付いていく。
その時ふと彼女の顔みた。私の頭からはこれらの思考は最初からなかったかのように消えてなくなってしまった。
「じゃーね」
自らその場を去った。
足取りが重い。
粘り着く。気分が悪くなる。
彼女たちのあの顔を思い出さないようにするが、出てきてしまう。
私は無理やり足を動かす。
気のせいだ。幻覚だ。あの顔を必死に無視しようとする。
四人目。清楚ギャル
「ねぇね」
「?」
「こんばんは、靴がさ、めちゃめちゃきれいでつい声かけてしまったよ」
「は、はぁ、」
「どこいってたん?」
「服買ってました」
「へぇ服。どこで?」
「、」
「あ、ウィゴーね」
「、」
「これからどこいくん?」
「帰ります」
「おっ、帰るんだ。俺さ、」
「、」
違和感。まただ。さっきより重たい。なんだよさっきからこの重いモノは。
彼女の顔は、まただ…
彼女もまた、前の彼女たちと同じような顔をした。
つまらなそうな。軽蔑のような。
話に興味がないような。
冷たい眼差し。口角の下がった口元。
「ありがと、気をつけて帰ってな」
震えないように必死に声を振り絞る。
挨拶だけは、忘れてはだめだ…
五人目。学生風
「ねぇ」
「」ガンシカ、いやイヤフォンだ。
「ね…」
「」いや此方に気がついていないだけ。もう一度かけるんだ。
21:05
私の今日の声かけが終わった。
一番人通りの多い場所のとある柱に寄りかかり道行く人を眺めている。
いける
いける
いける
いけるいける
またいける
なぜ行かない。
なぜ行けない。
いけると思うたびに足が固まり、足が固まるたびにドロドロした暗い色の油が体に付着していく。気持ちが悪い。何が気持ちが悪いかって、今日35人分の声かけを放棄し逃避した自分自身がだ。交通費2000円強をゴミ箱へ。今日私は私のせいで時間と金と夢を台無しにしやがったんだ。そう思うたびにどんどんどんどん油は体に付着してった。
五声かけ
考察
・平均的欲求不満男子。こうはなりたくなかったが、主体的に取り組めなかった私はコレだ。
・女性は鏡。こちらが楽しそうな顔をすれば女性にもうつる。
・話している時思考が止まる。冷静になれるまであと何回だ?女性と話すのは楽しい。笑顔を作るのは楽しい。創造を現実に変えられるのはいつか?
・営業師は見えないなにかと戦っている。それは人によっては大したことのないものだが、ある人にとってはとても苦しい毒となる。が、どんな人でも戦いを積むことによってそれは希釈され、ほぼゼロの存在となる。
・今日の私は地蔵をした。理由はひとつ。女性に拒絶されるのが怖いと感じたからだ。営業をかけることで実際に拒絶されることが多い。いや、殆ど拒絶。だから拒絶を楽しめる位にならねばならない。
・やればできる。向こうが此方に気がついてはじめて始まる。
・声をかけることが死ぬこととと同義ならば死にまくるほかない。人生で死と同価値の経験を何度もしている人間は何人いる?そうはいない。自分にとって特別な存在になるのだ。
・PUA振られることを楽しむ。この事について深く考えてみる。が、そんなことできんのか?ググったけれどもあるわけない。自分のマインドを強く変えて維持する必要がある。
・地蔵は金と時間の無駄。人々からは情けない扱いを受ける。とにかく最悪。低予算でやってるんだからやっぱりはよう死ね。
考察まとめ。
・振られることを楽しめ。失敗は考察の元。だからこそ楽しめ。
・軽蔑の目をみても笑えるような懐の広いドエムになれ。キツイ時ほど笑顔に。
・ノルマを守れ。明日は+10にせねば