【仲間と孤独】声かけノック240〜五日目〜
- 2015/04/01
- 11:41
営業師とは常に孤独である。戦いは常に1人きり。その戦いに負けたら1人きり。
自分との戦いというのはつまり孤独の戦いである。
どこへ進めばいいか、今進んでいる道はあっているか、どうすれば目的地に達するか。助けてくれる人、励ましてくれる人は誰もいない。
今日は同業者の方と合流することになっていた。どうやら彼も初めての合流らしい。
緊張もあったがそれよりも喜びとか好奇心の方が勝っていた。
ノックをはじめて五日目となった。後半戦だ。
今回は仕事の関係で渋谷に泊まる。なので夜は寂しい。
昔の私は一人寂しく満喫フラット席6時間。これ以外の選択肢はなかった。
むしろ慣れていたくらいだった…と言いたいところだがこれはただの強がりの言葉に過ぎない。1人満喫に泊まっているとよく思うことがある。ペア席からかすかに聞こえる席の軋む音、乱れる吐息。人から見たり聞いたら迷惑極まりない行動だ。
だが私はそんなことをすることが出来る彼らのことが羨ましかった。一人でいることが当たり前の生活だった私の常識は日に日に歪んでいき、ズレていったのかもしれない。なるべくしてPUMになったのだろうか。
そんな私も今はPUM、新人営業師だ。
出会って初めての女性と契約し夜を明かす権利がある。
今までできなかった一即というものを目指して戦っていきたいと思う。
しかし、くれぐれも人様に迷惑の掛けないように…
本日のPlan。
・一即
・初合流を楽しむ。
・周りをよく見ながら声かけ。
・会話時はリラックス。頭が白くなったら一呼吸。
・打診はトランスに導いてから。
17:30。渋谷駅。改札口。さぁゲームの始まりだ。
今日は初めて他の営業師の方と合流をする。その前に肩慣らし。
一人目、学生風ガンシカ
二人目、ギャルガンシカ
三人目、ギャルガンシカ
うむ、いたっていつも通り。通常運行。営業師らしい結果。彼女たちは偶然の運命的の出会いの状況を求めている。だが私たち営業師はその偶然の運命的を拾うために恋愛は確率という結論に至る。
18:00
四人目、学生風ガンシカ
五人目、セレブガンシカ
実はまだ渋谷を把握しきれてない。今日今いる場所がようやく道玄坂というのを知った。駅周辺の構造はなんとなく把握しているがどこに何のお店があるのかとか、ここはなんという名前の場所なのかはまるでわからない。道を聞かれたらすぐに答えられるくらいに知っておきたい。そのために何々はどこにある?という質問を道行く人に聞いていく。
因みに道聞きは声かけ数にカウントしない。道聞きは誰でもできる。確かにジゾリアンだった私はそれを克服するために間接法で営業をしていていたが、それじゃダメだ。ジゾリアンを克服した私は道聞きに逃げてはいけない。道聞きをしたら笑顔でありがとうといいすぐさま去る事をしている。
大きく遠回りをしてメンズ109につく。所謂渋谷系の服が揃うお店だ。
以前講習でマネキン買いを何セットかしてローテーションすればコスパな良いということを伺った。だが荷物も増えるし金銭が切羽詰まっている哀れな生命体だ。ちょうど渋谷にいるのだから今日はアクセだけでも買って食いつきを1mmでもよくしてからストをしようと考えた。
…
持ち合わせが3000円しかなく、ウインドショッピングを楽しんだ。
18:30。ハチ公周辺。合流する時間も近づいてきた。待ち合わせ場所がハチ公前なので近くで行おう。
六人目、待ち合わせの学生風。今日初のオープン。
友達とのみ、大学二年生、単位おとしたヤバい、O型、サンリオ好き、ツレ来て逃げ
七人目、キョロキョロ黒人女子。素晴らしく美脚だ。何かを探しているようだ。私は何かにとりつかれたかのように近づいていく。
「ウェアーアーユーフロム?」
「○☆×□▽」
よく聞こえなかった。ふと思った。英語が全く出来ないのになぜ私は声をかけてしまったのだろう。どうやらハチ公を見たいらしい。観光客だろう。
「ハチ公ー?ワンワン?」ジェスチャー?
「Yes dog」彼女も犬の真似。笑顔が可愛い。
「OK。come on. ニアーヒアーニアーヒアー」
案内、と言っても10歩くらい歩いた先だが。
「thanks!」
写真だろうか?スマートフォイを取り出す。ここでいいことを思いついた。一緒にツーショットしよう。異国人相手に何故か動じない私。どうした、今日の私は何かが違う。いける気がするぞ!しかしよく見たらツレが後ろに五人もいた、くっそおぉ!
「幅無いストリップ」して別れる。
八人目、OL
「ねぇ」
イヤフォンをしていた。なに?というような感じで外す。
「氷川きよしきいてんの?」
「あっ、いや…考え事してました」
「考え事?何々、仕事のお悩みかい?」
「あっいや…」逃げる姿勢だ。私も言葉に詰まる…次に放つ言葉が出てこない。
彼女はお辞儀をしながら立ち去ろうとする。
「そうかぁあんまり思いつめたらダメよ〜」
放流した。
んーーー!また私から逃げてしまった。和めたかもしれないのに。
今日の目標は自分から離れてしまうことをどうにかすることだ。
なんでこうなるのだろう。何故だろう…。
なぜかと言われたら頭に次の言葉が思い浮かばないからだ。
じゃあなんで言葉が思い浮かばないんだろう。
高石さんのページを見る限り今の私は相手に対して興味を持てていないのではないか?
興味がない限り言葉は出ない。人は好きでない人のことを知ろうとは思わない。
言葉が出ない時の具体案はある。言葉が出なくてもついていくのだ、離れない。一呼吸置いて、そこから自然に出てきた言葉を放とう。
出てくるのか?言葉が、自然に?
そうこうしているうちに合流する時間になった。
初めての講師以外の同業者との合流。
同じモノを目指す方との合流。言わば同士だ。
自ら立ち去ってしまうだらしのない営業はやめ、私は集合場所のハチ公前まで歩を急がせた。
19:00。ハチ公前。
○○氏と合流した。
金髪の彼はアクセや靴、服装をトータルに見て私と比べてしっかりと拘っているなと感じた。そして独特な不思議な雰囲気がある。この雰囲気はどこからくるものなのだろう?
彼はストリートの営業を一年前からはじめたようだ。
準即がメインだったようだが最近即ができるようになってきたという。
やはり新人営業師が目指すべく目標は即。だが冷静にこの即について考えてみる。
即日契約、世間一般の常識から鑑みるに
「普通に考えたらありえない事象」
満場一致同意だった。二人しかおらんけれど。
お互い初の同業者合流であった。どうすればいいか話し合う。コンビで攻めるのもいい。だが私がコンビについて不安で仕方がなかった。
初めて会った2人同士。コンビ営業は2人のコンビネーションが不可欠だ。まだ出会って数分の我々。即系は出会って20分でコンビネーションと言う名の弾丸即をかましてしまうが、我々は男を口説く術は持ち合わせていない。いや、もしかしたら仁王に真似でできるかも知れないけれど、私はそれでうまくいかない時のリスクの方を考えてしまう。所謂、コンビ地蔵であった。
「この周辺でお互いソロで行きましょう」
そう私がいった。
無理に合わせる必要はない。私は、今こうやって彼と出会ったことにもう満足をしている。結局まだソロ専なので、こう二人で地蔵して話せるだけで十分だったのだ。
周辺を二手に分かれて声かけを始めた。
九番目。ギャルガンシカ
十番目。学生風ガンシカ
十一番目。学生風ガンシカ
粘ったのちにごめんなさいごめんなさい
十二番目。学生風ガンシカ
ふむ、いつも通りだ。渋谷はまだいい方だ。
私の体感だと新宿のほうがガンシカ率は高い、そう感じる。気のせいか?
ちらと彼の方を見る。
失敗したらすぐに次のターゲット。失敗したら…
っと、とにかく彼の中にジゾリアンなんて物は一切存在しないように感じた。
流石一年間続けているだけある。戸惑いなんて物は無い。3秒ルールなんかじゃない。0.3秒くらいの感覚で行っているような…そんな感じがした。
私はというとジゾリアン率は20%ほどだった。
(あっ、いいな。いや歩き早いな、やめよ。)
彼にはそんなのはなかった。それがこの世の当たり前の事のように道行く人に何の戸惑いもなく足を進められる。
自分が情けなかった。悔しい。そして負けたくない、早く彼のように当たり前のように歩を進め、声かけをしていきたい。そう思った。
19:30
私はビタ止めができない。出来たとしても時すでに遅し、気がついたらかなり場所が離れた場所になっている。それの弊害か、さっきいた場所に私はおらず、彼とははぐれてしまっていた。戻るついでに声をかけていく。
十三番目。学生風ガンシカ
十四番目。学生風ガンシカ
十五番目。セレブガンシカ
十六番目。学生風、演歌ルーティーン、違います逃げ
十七番目。学生風ガンシカ
雑だ。もっと丁寧に、ガンシカならついてくくらいに粘り強く…!
十八番目。セレブ
これから待ち合わせ、逃げていく
ぐぬぬぅ…
十九番目。ギャル
オープンした。いや違う。応答をした、だけだ。
これから職場。ネイル綺麗やな。友だちにやってもらったんです。そうなんだ、器用な友達だね。はい。
「…」
「…」
出ない。やはり出ない…
私のことがつまらないのだろう適当に適当と思われる相槌を選択し、答えているだけだった。
「そいじゃね」
放流した。
声かけに何かを求めるようになっていた。
私は彼女に何を求めていたのだろう?
20:00
二十番目。セレブガンシカ
二十一番目。OLガンシカ
二十二番目。学生風
「なにこーてたん?百マス計算用紙?」
「ちがいます笑」
オープンした。間違いない。これがオープンだ。
学生、19歳、歯抜けで買ってしまった少女まんが買ってた、これから友達と飲み会らしい。
「あ、知ってるー。その友達俺の友達でもあるんよ。あれやろ?一組の山田くん」
「誰ですか笑」
「山田くんだよー!覚えとらん?体が曙ばりに巨体でさぁ、隣に座ると窮屈でつぶれちゃうくらいのあの彼!」
「山田くんじゃないです笑」
「山田くんちゃうん?えっ、じゃあ誰よ?」
山田くんルーティーン。わ、悪くない。が、だいぶ無茶のあるハイテンショントークだ。フランさんのパターンは少しずつだが身についてきただろうか?まぁハイテンショントーク使ってもいいんだろうけれど、途中で噛みそうで心配でならない。もうすこし落ち着いて…
「あっこっちなんです」
「そかそか、気いつけていってきな」
て、おおおおおい!!
今のは!バンゲできたかもしらんでしょ!
和み放流の原因はなんなのか。
とにかく声かけに必死だったこの時の私にはまだわからなかった…
二十三番目。学生風
オープン。神奈川すみの大学二年生、ロキノン系、あるアーティストについて語る。しばらく音楽の話に。ギターをしてる。サークルのコピバン。これからパルコ買い物。ニット帽が好きみたいだ。
「君さ、どれくらいニット持ってる?」
「えっーとー」
見えた!ここだ!トランスーーーーー!?!!
「あっ、ネイルかわいいね、俺好きだわ。」
「あ、えっ…あ、ぁありがとうございます…」すごく動揺しているぞ?これはまさか…
「番号交換しよ」
「えっ?!?」
ぐだ。ダメだったくそぅ…しかし粘ってラインゲット。
「つまらんかったら、即刻ブロックでええから!」
「ぶ、ぶろっくはしませんよ…!」
でも!返信するとはいっていない!!
久々のバンゲだった。
嬉しかった。
…あれ?
ここであることに気がつき、久々のバンゲの喜びは一瞬にしてもみ消されてしまった。
これは小さな喜びよりも大切なことだ。
今日のプランに関わること。
これはなんだ?
何かに気がつく。
何故だ?なぜ私は…
さっきは和むことを自ら放棄したのに今は十分な和みができたんだ????
伏線が多い。
だが声かけは同じように続いていく
二十四番目。OLガンシカ
二十五番目。ギャルガンシカ逃げ
二十六番目。OL振り返りギャクサイ逃げ
20:30
○○氏と合流した。今日はまだ30も行ってない。疲労感が尋常じゃなかった。
「ちょっと一杯だけのみません?」
「いいっすよー」
二十七番目、○○氏、連れ出し即
…ではなくて、バーで飲みをすることに。
バーではいろいろなことを話した。
営業を始めたきっかけについて、始める前について、始めたばかりの頃について(私は今まさにその状況だ。同業者の下積み時代というのが気になってしまい、いろいろ根掘り葉掘り聞いてしまった気がする。)、講習について、講習ビジネスについて、主要駅の情報などなど…
話を聞いていくうちに伏線の一つが回収された。
彼の不思議なオーラについて。大変失礼なのだが彼はぱっと見、気が弱そうな人に見える。だけれどもこの営業という行為になると何のためらいもなく声をかけ続けていける。声かけとは死ぬことと同じことなんじゃないかと私は思っていたのだが彼はそれを当たり前のようにやってのけられる。
恐らくはじめた当初、大変苦しい思いをしたのだろう。何度も苦悩があったのだろう。だがそれを一つづつ確実に乗り越え、ジゾリアンという自分を自らの手によってねじ伏せた。
すごいなと思った。彼曰く長い期間地蔵だったと言っていたが、それはきっと私が想像するよりも大変な不安定な精神状態だったに違いない。私が同じ精神状態だったら絶対に逃げ出していただろう。そうおもう。彼からは歴戦の勇者のようなそんな不思議なオーラを感じたのだった。
(間違っていたらすんません…笑)
21:00。バーを出る。後半戦の開始だ。彼は次の日仕事のようで終電前には帰宅するとのこと。ここでまたいつもと同じようにソロを開始した。
二十七番目。学生風店逃げ
二十八番目。セレブオープン、適当、放流。
会話が盛り上がらない。いや、話を流されている。今回の私はオープナーをボケを主流に回している。そしてそのボケを本当に適当に、はいはい、そうです。はい。はい。とただ淡々に口にだすだけ。今日はそんなコが多いように感じる。そしていつものように私は放流する。
これはわかりやすい名前をつけたほうがいいかもしれないぞ…?
二十九番目。学生風ガンシカ逃げ
三十番目。ギャルガンシカ
三十一番目。ギャル。しっかり和んで帰るとこでビタ止めし、バンゲをした。だがメモ忘れ。なんという!
だがこれだけは言える。この時に私は確信したのだ。
伏線の二つ目を回収。
私は会話のキャッチボールをうまく取れない人が怖いから和み放流をするんだ!
だから自ら去るのだ。バンゲすら連れ出しすら打診せずに…!
だが怖いとわかってどうすればいいんだ??
頭の中がぽかーんと抜け落ちたような感覚でまるで答えがわからなかった。
三十二番目。ギャルガンシカ
21:30
三十三番目。ギャルガンシカ
三十四番目。素っぴんギャル。
オープンした。
1人暮らし、29歳、水商売、バックはcoach給料で買ったけどあんまり贅沢できんよね。
こちらが質問した内容を返してきたり、こちらに食いつくる。何する人?違う人に声かければいいじゃん?いくつ?事故開示トランス織り交ぜ粘る。グダ、家の前までくる…も、さようなら。普通なら巻こうとしてぐるぐる歩きまわるのに、この人は今日仕事で本当に疲れていたんだろう。場所がわけわからない俺を察してくれたのか、その場から背を向けた俺の背中に
「右ずっと行けば道玄坂だから!」
とだけ言ってアパートに帰っていった。びっくりした後、数秒立ってようやく意味を理解し、胸が味噌汁を飲んだ後みたいに暖かくなった。
三十五番目。ギャル
ガンシカ、粘る、歩みが早くならない。まだ粘ってみる。
言葉に詰まる時は呼吸を置き、自己開示、
「うるさいなー!ライン交換すればいいんでしょう?!」
「んっ…?!あ、おお、おう」
「もうどっかいってね、本当に」呆れ顔だった。
スト高だった。値は4はある。今日は聞かれまくったんだろうな。
交換は無言で淡々と進められていく。
死に番をゲットした。ギャルさんの情けを頂いて大変申し訳ない気持ち。こんなバンゲは金輪際しないようにしよう。
「ありがとう。きいつけてな」
私は、ただありがたみだけを込めて駅の方へ急いで歩いていく彼女の背中に届くようにそっと声をかけた。味噌汁を飲んで体を温めたい…
三十六番目。ギャル。
はい、はい。そーです。はい。そーでーす。放流。
また現れた!
決めた。このように適当に話以外にもボケすらをも流す人を
『ハイハイガール』
と名付けよう…!!
ボケたら返すのが礼儀じゃないのでしょうか?ここは渋谷です。礼儀とは人様個々の価値観にによるものだ。
22:00。私は109前に来ていた。ダンディーなおじさんが営業をしていた。
デニム、革靴、カジュアル系な服装。身長170強、交差点変わるたびに声かけている、そして終わるたびに手に持っているスマホに目を落とし、メモ。効率が良さそうな声かけであった。
私も真似事をしてみた。
三十七番目。学生風ガンシカ
三十八番目。学生風
オープン、27歳、専門、IT系、公開結婚式してるからそれについてはなす、粘ってみようとするが放流。
まだ直せない。
いや、今のは打診グダだ。ビタ止めさせるべきだった。
私に足りないもの。ビタ止めだ!
三十九番目。ギャルガンシカ
四十番目。ギャル、ハイハイガール。
例えばだがハイハイガールはこんな感じだ。
「ガラガラ重そうだね。東京旅行?」
「違います」
「あら、ちがうん?…んっ?もしかして北朝鮮でも行ってきた?笑」
「うんそう」真顔
「えっ、うそやんw」
「ほんとほんと」真顔
「ど、どうだった?」急な返しに対する焦りに苛立ちをテイスティングしたかのような感情
「楽しかったー」
「へぇ生きて帰ってくるなんて凄いね」
放流
喜び組に勧誘されてしまえ!!!!!
あれなのだろうか。彼女たちハイハイガールは私を試しているのだろうか?
試されているという可能性が少しでもあるのならば、私は戦わねばならない。
このハイハイガールと。
四十一番目。ギャルガンシカ逃げ
腹が痛くなってくる…声かけの速さが急激に落ちてきた。
四十二番目。ギャル、友だちまち、ハイハイガール。放流
四十三番目。ギャルガンシカ逃げ
22:30
ビックカメラのトイレで10分格闘。その後もあまり良くならず電柱に寄りかかり地蔵をする。
23:00。道玄坂周辺。本格的にお腹が良くない。
四十四番目。ギャル二人組
私の横で話をしている。
自分の子供一重だったらどーしよー、整形させればいいよ
「うそやん…そこまでする程?」
腹痛ながらつい突っ込んでしまった。わ、悪いことじゃないんだろうけれど。どうしたんだ自分。驚くギャル達。逃げ。
23:30ドンキに入る。段々とお腹は落ち着いてきた。
腹をさすりつつ少しだけ店内営業をしてみた。
四十五番目。ギャル
「男もんのワックス買うの?」振り向く。こう顔を向けられた時できるだけ笑顔が出るように心がけてはいる。が、そんな作り笑顔をみぬいたのか?すぐ顔を戻した。
「彼氏のです」
彼氏はスルーして次の話題、ケチャップバックルーティーン、
ハイハイガール発動!、………放流。
四十六番目。ギャル
「何探してん?悩みすぎっしょ君」逃げ
店営業はまた今度しっかり考察しながらやってみよう。
いつの間にか終電が終わっていた。腹は良くなったが念のため正露丸を装備しておく。
さあ、延長戦の突入だ。
24:00。合流した彼はもう帰っていた。お礼と激励の連絡が届く。がんばります。私は今日…
絶対に即してやる!!
それにひたすら燃えていた。一人満喫、やだ!ペアで座りたい!やるからには!
ただ、燃えていたのは私の体の中に吸収されたアルコール。後から後からアルコールが回ってきて記憶が途切れ途切れ。わたし飲むけれど実はお酒弱いのです…
メモの記録だけを記入する。早送りでお送りいたします。
四十七番目。OL電話中
四十八番目。ギャルガンシカ
四十九番目。ギャル電話中
五十番目。ギャルハイハイガール
五十一番目。ギャルガンシカ帰るとこなんだけど
五十二番目。ギャルガンシカ
24:30
五十三番目。学生風ガンシカ
五十四番目。セレブハイハイガール
五十五番目。学生風帰ります、綺麗なくつね、帰ります
五十六番目。学生風ガンシカ逃げ
五十七番目。ギャルガンシカ逃げ
五十八番目。ギャル仕事帰り、すぐそこ住み、尖ったヒール、彼氏に買ってもらた、彼氏ドエム、彼氏待ってる、迎えこいよ彼氏、それな!
25:00。漫画喫茶へ。酒ブーストが発動したらしい。酔っていたくせにメモはしっかり行っていたらしい。どうやら最後に和んでから入ったらしい。そして朝隣には誰もおらず、イカ臭いおしぼりがあったので私は自家発電したらしい。
29:00。
意識が回復した私は、まずは体に付着した埃汗、酒煙臭を取り払いたかった。漫画喫茶のカウンターに足を運ぶために立ち上がった狭いリクライニング席を立ち上がる。
ふと辺りを見渡した。
低身長の目線程の高さから見下ろした漫画喫茶という空間は、仕切りに区切られた小さな部屋が規則正しく整列していた。電気が付いていたりいなかったり、いびきが聞こえたり椅子が軋むわずかな音が聞こえたり。それぞれの部屋が各々独立し干渉し合わずにしっかりと区切られている。言葉にうまく表せないが異様な空間に感じた。自分だけの世界が密集している。自分だけの世界が、たった3センチほどしかない木の板で規則的にかつ無造作に仕切られている。物理的距離はこんなにも近い空間なのに、仕切りさえなければパーソナルスペースほどの近くであるとも思われる空間なのに仕切り向こうにお互いが干渉しあうことはない。
これは現代社会の孤独だ。私はそう感じた。
孤独とは一人きりになることだ。だがこの空間には人がいる。こんなにも狭い空間にたくさんの人が密集している。客観的物理的に見れば孤独ではない。東京は日本国内で圧倒的な人口密度を誇る。そんな空間に孤独なんてありえない。
現代社会においての孤独とは空間内の人の有無ではない。人との繋がりだ。そして営業、pickupを行えばそれの意味が痛いほどわかる。実感できる。圧倒的な人口密度の中であなたは東京の、渋谷の、現代の孤独の意味を知ることができる。
私は今この瞬間。この社会、この渋谷、この空間内において人とのつながりを一切持てず孤独になっていた。
思わず部屋から飛び出る。洗顔やタオルなど、ドンキでここに来るためにわざわざ買った品を持っていくことも忘れて。
何故彼女たちは私との繋がりを拒絶するのだろう。怖いから?不安だから?話が面白くないから?まだ好きじゃないから?興味の持てる外見じゃないから?こんなに近くにいるはずなのに、なぜ人は人との繋がりを持てないのだろう。そう感じている人間は他にはいないのだろうか?辛いだろう?誰かと関わりを持ちたいのだろう?もしいるのだったら同じ思いをしている私と繋がっても良いのではないか?
フロントにはギャルがいた。始発待ちだろうか。キャリーバックを持って受付で手続きをしている。
彼女の顔を横目でまじまじとみつめる。その瞳はカラコンで明るい茶色に拡張されている。本来の黒い瞳を隠している状態からは彼女は死んだ魚の目をしているのか、生き生きとしたカエルの目をしているのかわからなかった。
私と同じ思考の人間かはわからなかった。
営業思考が動き出す。受付終了後、彼女は部屋に入る。その前に漫画なり飲み物なりを探すであろう。その時に偶然を装って声をかければいい。
受付を終えた彼女は週刊誌のコーナーに立ち寄り本を物色し始めた。さぁ。
体が動き出す。
私はそのままフロントに行き、手続きを済ませすぐ近くにいる彼女を見ないようにしながらシャワー室へ足を運んだ。
Do。結果
声かけ58
オープン16
はいはいガール6
和み5
連れ出し0
バンゲ3
逆バンゲ0
自慰1
Check。
◯初合流を楽しむ。
楽しめた。プラスになったかどうかはわからないが、孤独営業の苦痛を和らげることができることがわかった。何より報告をしあい同業者同士触れ合うことで楽しさが生まれる。今後、機会が合えばいろんな人とあって刺激を与え合える関係を作っていきたい。同性仲間は増やしたいものだ。
◯周りをよく見ながら声かけ。
・渋谷のヤーさんには絡まれなかった。というか体感渋谷は新宿ほど怖い人がいない気がする。キャッチの人も我々の営業ばりにガンシカしてもついていく…何てことは全くない。
・だからと言って私の状況把握は未だに低いまま。電話中に声かけたり、ツレ持ちに声かけたり、声かけ続けてる時に後ろ回られて見失ったり…と状況判断が低い。認識するのとできないのではまるで違う…どうにかしたい。でもどうすりゃええのだ …
・恐らく相手をすごい勢いで相手の顔を見ているのと思われる。だから相手(の一部分)しか見えない、周りが見えない。周りが見えないってのは目に力が入ったままであることも考えられる。目の力を抜いて相手を中心に捉え、相手の体全体、いやもう少し周りまでを見るイメージか。話しかける意識を持って視界を広く持とう。慣れと経験だ。
◯会話時はリラックス。頭が白くなったら一呼吸。
・言葉が出なかったら一度止めながら会話をした。そしてしつこいと言われながらバンゲできた。だが怒鳴られ気味だったので良くない。お互いに気分が良くないので極力そんなバンゲは避けなければ。
・ハイハイガールには自ら逃げがあった。今日は本当多かった。だがハイハイガールの概念を意識してから対面した経験はまだあさい。先ずはハイハイ崩しを考察せねば。くそぅ…放流しか未来が見えぬ…!
・私にはルーティーンがない。その状態での会話継続力は自分の相手への興味に全てがかかっている。相手への興味がない場合たとえオープンしても半ば自動的に自ら去るという行動をする。逆に相手への興味があるとどうにか行くことが多かった。
・私にとって興味がゼロになる相手とは、話を聞き流している相手が大半。話を聞き流す。受けこたえはしているけれど適当。もしくはそんな雰囲気がある。これらが「自ら去り」を引き起こす原因であると考えられる。
・なので相手への興味ゼロを自ら去りの原因と仮定するならば、解決策としては相手への興味を持つことが重要であると考えられる。相手への興味とは外見や趣味、相手のこちらへの食いつき以外でもいい。(何故この人はハイハイガール状態なのだろう?)「なんで受け答え適当なん?ホビット族が話しかけてんじゃねーよみたいなお怒りな感じ?」(何故この人は無視をするのだろう?)「どうして目線を一ミリも動かさずにいるの?人に声かけられたらいつもそうしているの?」(今怖がった顔したな)「今俺に対して怖がっているよね?じつはね…俺→自己開示」こういうのでもいいと思う。とにかく大切なのは相手への純粋な興味。シカトやハイハイを受けても構わない。声をかけ、相手が自分を認識した瞬間から自分と相手だけの世界が構築される。ガヤは関係ない。二人だけの世界において大切なのは相手に如何に興味を持つことかが重要なんだ。
◯打診はトランスに導いてから。
・意識はしてみた。結果は驚かせることができた。トランスというのが少しわかってきた、ような気がする。ただ今回は驚かせることだけだった。グダがあり効果的ではなかった。すんなり打診が通ることはなくグダがあり、グダ崩しをしてからという形になった。理由は十分なラポールを作れていないとこだろう。営業師は短時間で相手とのラポールを築き上げる必要がある。
・ラポールを作るにはまず具体的解決案としては足止めをさせることだろう。何故足止めさせねばいけないのかというと相手が話を集中して聞けないのもあるし、目的地に着いたら打診する前に急に逃げられてしまう。何をするにしても一回足を止めてもらうのが重要だろう。どのタイミングが良いのかまだわからないのでオープンしてから言葉のキャッチボール4回くらい、50〜100m進んだくらいしたら止めようと仮設する。
◯その他
・今までで一番成果が良かった、と言える…いや言えるのか?目的は逆バンゲだし今日は即をして夜の孤独を埋めたかったのだ。それができなかったという事実がある以上成果が良かったと言うことはできない。(結果的に全てシニバンでした)成果とは真の目的を達してから成果ということができる。この数字に騙されてはいけない。
・酒に弱くなっていた。原因は久々の酒だったのとストリートの疲れだろう。酒ブーストは今後控えたいとおもう(最終日も酒ブーストはあります。終了したのちに反省中です。)。記憶をなくし終了後の考察ができなくなることにある。
・健康管理と体力向上は度々あげたが今後の課題である。
・ノルマはこなせているがきっちり10人/1hの速度が出せているかと言われたらNoである。歩きながら探しているので狙いが定まらないのも原因か。多いときもあるが少ない時ももちろんある。声かけ数のムラを無くすべきだ。
・即を目指したがまるでかすりもしなかった。まだ連れ出したことすらないのに、そんなの無理だという弱腰でいどんでいた。それはいけない。わからなくてもその目標を目指さない限りそこには到達しないし、重要な気づきにもきづけない。
・自家発電はしないほうがいい。なぜならエントロピーという営業のモチベーションを下げるから。
・孤独は怖いが地蔵と同じで慣れる。そしていつか人と繋がりを作れ孤独は無くなる。孤独とは私にとって営業を行う目的の一つなのだから。
Action。
・相手に興味を持ちながら声をかけ、会話中もそれを意識する。
・オープンから4キャッチボールor50〜100m歩行でビタ止めをしろ。
・トランス打診は和みを十分にして食いつかせてから。
・声かけノックを終わらせろ。