魔女化した既存案件に掛けるべく最良の言葉について
- 2016/04/19
- 23:39
クラブの仕事が終わり、朝帰り。布団を敷き終わりさあ寝ようと床につくその時だった。電話がなった。03から始まらない少し前まで馴染みのある、局番、固定電話からの電話番号であった。
「◯◯県警察です」
警察です。そう言われて、少し不安になる。不安になるがそれを悟られてはいけない、堂々としていよう。瞬時に私はそう判断していた。しかしながら、思い当たる節がない。よくわからぬまま、あぁはい、と返事を返す。
「巴マミさんについて、お伺いしたいのですが。QBさんご存知ですか?」
「あー」
6割方の内容を察した。何か危ないことに巻き込まれたのだと察した。私は関係があり、そして私に関係がないことが私の知らぬ水面下でどうやら起きていたようだった。私は考える必要のないまるで選択肢のない一択の二択に母音を長く伸ばせるだけ伸ばしながら悩み考えていた。日常会話での「あー」よりも少し長めの「あー」であった気がする。
「まぁ、はい」
悩んだ挙句曖昧な返答をしていた。
「えぇと、彼氏さん?でしたっけ?」
「あー」
また言葉を伸ばす。非日常的な「あー」をしながら、また一択の二択の選択肢を選ぶ事に私は悩んでいた。
「そうですね、はい」
警察の彼はその私の選んだ選択肢を聞くと、とても言い難そうにゆっくりと要件を電話越しの私に話した。
魔法少女の巴が昨日から行方不明になったらしい。私は巴との近況のやり取りを、言い難そうにする彼に淡々と自ら進んで話した。彼はずっと気まずそうな雰囲気で相槌を打っていた。
「有難うございました。マミさんの連絡や居場所、状況等、QBさんの方で何か掴めましたらお手数なんですが、連絡お願いします。」
「わかりました」
「仮に口止めされてもこっそりと、お願いします…」
「そうですね。はい」
「以上になります、朝早くに、ほんとスミマセンでした…」
「いえいえ、そんなことは。捜査の方、頑張ってください。よろしくお願いします」
連続するように再度電話が鳴った。今度はケータイ電話からだった。
「もしもし、朝早くにスミマセン。巴マミの母親の〇〇でございます」
「おはようございます。」
「QBさんで、よろしでしょうか…?」
「はい、inQβQBです。お世話になっております」
堅苦しくフルネームで電話越しの婦人に伝えた。
「あの…唐突で申し訳ありません、マミの事についてお電話をさせて頂いたのですが…」
恐る恐るな、何かに怯えたような、弱々しく焦り、震えた声が私の耳元で鳴る。
「はい。丁度先程、〇〇警察の方から電話をしておりまして、マミさんが行方不明という事について伺っております。」
「あ…はい…そうでございましたか…それでなんですが…」
マミについてこの婦人にも警察の彼に伝えた様に詳細を淡々と語った。ラインが繋がらない、連絡先に繋がらない、その事を伝えると、彼女は
「そうでしたか…スミマセンでした…」
「スミマセンでした…お手数おかけしました…」
と、そんな様な言葉を繰り返していた。これ以上は私と会話したくないような雰囲気があるなと、鼓膜で感じていた。
「お母様…気が気ではない状況であるとは思いますが…あまり無理をなさらないでくださいね。ご連絡頂き有難うございました。失礼いたします。」
電話を切った後、今度は私の弟から電話が来た。私は電話に出る前に欠伸を一つ吐き、目を思い切り瞑り開いてから電話に出た。
「よう、なんか警察から電話きたんだけど、何したん」
「おはよ。すまんかった。俺は何もしてない」
「えっ、あ、そうなん?じゃあ何だったんだあれ」
「俺の彼女が行方不明になった」
「は?」
「行方不明。彼女」
「いや、まて、なにそれ、やばくねそれ」
「そうなんだよ」
「何したん」
「だから何もしてねーんだよ、急にいま警察から電話きて、知った。」
「いや絶対なんかしたろ。エイプリルフールにAV男優やってるって言ったからじゃないんー?」
「んなわけ。話聞いた限りだとそういう系のやつではなかった。」
「ほんとかよ」
「聞いた話だから真相は本人のみぞだわな」
「なんか、どんまい」
「なんかどんまいて、なんかちがくね」
「なんて言えばいいんだよ。他なんも言えねーよ」
「べつに何かを俺にいうこたーねーだろ」
「とりあえず、捜し出せ」
「捜索はせんわ」
「なんでだよ」
「俺がやってどうすんだよ。地理的に無理だし警察に任せるしかねーよ」
「まーそーだけども」
「警察に任せてる間、会った時に言うべき言葉を練ることにする」
「まぁ、そやな」
私は弟との電話を切り床についた。私が電話越しで話していた内容を、言葉を、一つづつ思い出していた。違和感を覚える言葉がいくばか見られた。何故違和感を覚えたのだろうか。その理由は思考し考察し脳内で言葉として改めて形にせずとも分かりきってたことであった。自身がそういう人間である事に悲観した感情が湧くという訳でもなく、ただ違和感を感じつつ、只管に「自分自身について」悩み続けた。
ただ、マミに次あった時発すべく言葉はもう決まっていた。
「何やってるの?」だ。
「◯◯県警察です」
警察です。そう言われて、少し不安になる。不安になるがそれを悟られてはいけない、堂々としていよう。瞬時に私はそう判断していた。しかしながら、思い当たる節がない。よくわからぬまま、あぁはい、と返事を返す。
「巴マミさんについて、お伺いしたいのですが。QBさんご存知ですか?」
「あー」
6割方の内容を察した。何か危ないことに巻き込まれたのだと察した。私は関係があり、そして私に関係がないことが私の知らぬ水面下でどうやら起きていたようだった。私は考える必要のないまるで選択肢のない一択の二択に母音を長く伸ばせるだけ伸ばしながら悩み考えていた。日常会話での「あー」よりも少し長めの「あー」であった気がする。
「まぁ、はい」
悩んだ挙句曖昧な返答をしていた。
「えぇと、彼氏さん?でしたっけ?」
「あー」
また言葉を伸ばす。非日常的な「あー」をしながら、また一択の二択の選択肢を選ぶ事に私は悩んでいた。
「そうですね、はい」
警察の彼はその私の選んだ選択肢を聞くと、とても言い難そうにゆっくりと要件を電話越しの私に話した。
魔法少女の巴が昨日から行方不明になったらしい。私は巴との近況のやり取りを、言い難そうにする彼に淡々と自ら進んで話した。彼はずっと気まずそうな雰囲気で相槌を打っていた。
「有難うございました。マミさんの連絡や居場所、状況等、QBさんの方で何か掴めましたらお手数なんですが、連絡お願いします。」
「わかりました」
「仮に口止めされてもこっそりと、お願いします…」
「そうですね。はい」
「以上になります、朝早くに、ほんとスミマセンでした…」
「いえいえ、そんなことは。捜査の方、頑張ってください。よろしくお願いします」
連続するように再度電話が鳴った。今度はケータイ電話からだった。
「もしもし、朝早くにスミマセン。巴マミの母親の〇〇でございます」
「おはようございます。」
「QBさんで、よろしでしょうか…?」
「はい、inQβQBです。お世話になっております」
堅苦しくフルネームで電話越しの婦人に伝えた。
「あの…唐突で申し訳ありません、マミの事についてお電話をさせて頂いたのですが…」
恐る恐るな、何かに怯えたような、弱々しく焦り、震えた声が私の耳元で鳴る。
「はい。丁度先程、〇〇警察の方から電話をしておりまして、マミさんが行方不明という事について伺っております。」
「あ…はい…そうでございましたか…それでなんですが…」
マミについてこの婦人にも警察の彼に伝えた様に詳細を淡々と語った。ラインが繋がらない、連絡先に繋がらない、その事を伝えると、彼女は
「そうでしたか…スミマセンでした…」
「スミマセンでした…お手数おかけしました…」
と、そんな様な言葉を繰り返していた。これ以上は私と会話したくないような雰囲気があるなと、鼓膜で感じていた。
「お母様…気が気ではない状況であるとは思いますが…あまり無理をなさらないでくださいね。ご連絡頂き有難うございました。失礼いたします。」
電話を切った後、今度は私の弟から電話が来た。私は電話に出る前に欠伸を一つ吐き、目を思い切り瞑り開いてから電話に出た。
「よう、なんか警察から電話きたんだけど、何したん」
「おはよ。すまんかった。俺は何もしてない」
「えっ、あ、そうなん?じゃあ何だったんだあれ」
「俺の彼女が行方不明になった」
「は?」
「行方不明。彼女」
「いや、まて、なにそれ、やばくねそれ」
「そうなんだよ」
「何したん」
「だから何もしてねーんだよ、急にいま警察から電話きて、知った。」
「いや絶対なんかしたろ。エイプリルフールにAV男優やってるって言ったからじゃないんー?」
「んなわけ。話聞いた限りだとそういう系のやつではなかった。」
「ほんとかよ」
「聞いた話だから真相は本人のみぞだわな」
「なんか、どんまい」
「なんかどんまいて、なんかちがくね」
「なんて言えばいいんだよ。他なんも言えねーよ」
「べつに何かを俺にいうこたーねーだろ」
「とりあえず、捜し出せ」
「捜索はせんわ」
「なんでだよ」
「俺がやってどうすんだよ。地理的に無理だし警察に任せるしかねーよ」
「まーそーだけども」
「警察に任せてる間、会った時に言うべき言葉を練ることにする」
「まぁ、そやな」
私は弟との電話を切り床についた。私が電話越しで話していた内容を、言葉を、一つづつ思い出していた。違和感を覚える言葉がいくばか見られた。何故違和感を覚えたのだろうか。その理由は思考し考察し脳内で言葉として改めて形にせずとも分かりきってたことであった。自身がそういう人間である事に悲観した感情が湧くという訳でもなく、ただ違和感を感じつつ、只管に「自分自身について」悩み続けた。
ただ、マミに次あった時発すべく言葉はもう決まっていた。
「何やってるの?」だ。