黒いクマと絶望の魔法少女
- 2015/05/13
- 03:30
21:00
夕食を終えた私たちは車に乗り込む。
「食べ過ぎたわ」
「ピザ10枚は多すぎ」
「男の子は無茶したい時があるんです」
「もー、私のお金なんだけどー」
「あーそうそう、渡そうと思った奴があるんよ」
「え?」
「はい」
赤の袋に包まれた袋、108円で買ったものだ。
彼女はその包みを開ける。
中身は…
「え…!」
私は驚いている彼女の肩をぐいと寄せて言った。
「今夜は一緒にいてくれるよね」
「……うん」
黒いクマ。
プライスレス。
可愛らしい黒いクマのぬいぐるみ。
私はそれを何も言わずプレゼントとして包み彼女に渡した。
偽り。
この黒いクマは過去の他の女性からもらったものだった。
黒いクマは外道の道具として使われてしまった。
今、
私は悪いことをしただろうか?
彼女に悪いのだろうか?
自分に悪いのだろうか?
黒いクマに悪いことをしたのだろうか?
12時間前、袋にぬいぐるみを包みんでいる時。
その時思っていた疑問が再び私の頭をよぎる。
私は思考をこう結論したのだった。
悪いことではない。
彼女はその黒いクマを喜んで受け取る。
自分は居場所に困ってた黒いクマをどうにか出来る。
黒いクマは新しい主人に喜んで貰えて嬉しい。
そうに違いない。
彼女のことだ。
黒いクマは大事にされるだろう。
私個人だけの視点。都合のいい解釈。
社会的外道の視点。反感を買う解釈。
構わない。その視点解釈で私は全く構わない。
私がこう思っても彼女の気持ちも黒いクマの気持ちもわかるはずもないのだ。
私は外道になるになるため、悪虐に手を染める。
染めなくてはならないんだ。
悲しい人間。可哀想な人間。私はそうは思わない。
そう自分に言い聞かせるように結論したのだった。
彼女との契約の後日。
部屋に可愛らしく飾られていた黒いクマの画像が送られてきた。
ラインで聞くなりとても嬉しそうであった。
無事に彼女は私の魔法少女となった。
誰も不幸にならない。
幸せな世界。理想の世界。
素晴らしい世界だが完全な世界ではない。
問題が一つある。
それはこの世界は私が生み出した偽りの世界だということだ。
この嘘が発覚するとどうなるのだろう。
その反応は例えば「恋愛工学 批判」でネット検索すれば出てくるだろう。
人は今目の前にある『幸せの現実』が
用意されたものであることに怒りを覚える。
何故だろう。偽りは偽りでいいではないか。
それで幸せならいいではないか。
何故憎む、怒る、嫌悪する?
何故なのか…?
答えに靄がかかっている。
よくよく考えれば導き出せる答えだった。
だが導き出せない。
出すのが面倒に感じてきたのだ。
否定も肯定もしない。
外道行為を淡々と行った私を私はただただ受け入れていた。
そんな私の中身はもう悪虐に染まっていた。
ふと急に、私がよく用いる単語の定義が定まった。
掲載しておこう。
偽り。
それは人々の理想であり己の業だ。
営業。
それは理想の運命の偽りを生み出し人を幸せにすることだ。
契約。
それは顧客の幸せの始まりであり一つの営業活動の終わりだ。
魔法少女。
それは幸福の空気に身を包まれ中を漂う存在だ。
それは今日私が偽りを用いて得たものだ。
魔女。
それは現実を知り絶望した魔法少女だ。
クマ吉…幸せになってください。
夕食を終えた私たちは車に乗り込む。
「食べ過ぎたわ」
「ピザ10枚は多すぎ」
「男の子は無茶したい時があるんです」
「もー、私のお金なんだけどー」
「あーそうそう、渡そうと思った奴があるんよ」
「え?」
「はい」
赤の袋に包まれた袋、108円で買ったものだ。
彼女はその包みを開ける。
中身は…
「え…!」
私は驚いている彼女の肩をぐいと寄せて言った。
「今夜は一緒にいてくれるよね」
「……うん」
黒いクマ。
プライスレス。
可愛らしい黒いクマのぬいぐるみ。
私はそれを何も言わずプレゼントとして包み彼女に渡した。
偽り。
この黒いクマは過去の他の女性からもらったものだった。
黒いクマは外道の道具として使われてしまった。
今、
私は悪いことをしただろうか?
彼女に悪いのだろうか?
自分に悪いのだろうか?
黒いクマに悪いことをしたのだろうか?
12時間前、袋にぬいぐるみを包みんでいる時。
その時思っていた疑問が再び私の頭をよぎる。
私は思考をこう結論したのだった。
悪いことではない。
彼女はその黒いクマを喜んで受け取る。
自分は居場所に困ってた黒いクマをどうにか出来る。
黒いクマは新しい主人に喜んで貰えて嬉しい。
そうに違いない。
彼女のことだ。
黒いクマは大事にされるだろう。
私個人だけの視点。都合のいい解釈。
社会的外道の視点。反感を買う解釈。
構わない。その視点解釈で私は全く構わない。
私がこう思っても彼女の気持ちも黒いクマの気持ちもわかるはずもないのだ。
私は外道になるになるため、悪虐に手を染める。
染めなくてはならないんだ。
悲しい人間。可哀想な人間。私はそうは思わない。
そう自分に言い聞かせるように結論したのだった。
彼女との契約の後日。
部屋に可愛らしく飾られていた黒いクマの画像が送られてきた。
ラインで聞くなりとても嬉しそうであった。
無事に彼女は私の魔法少女となった。
誰も不幸にならない。
幸せな世界。理想の世界。
素晴らしい世界だが完全な世界ではない。
問題が一つある。
それはこの世界は私が生み出した偽りの世界だということだ。
この嘘が発覚するとどうなるのだろう。
その反応は例えば「恋愛工学 批判」でネット検索すれば出てくるだろう。
人は今目の前にある『幸せの現実』が
用意されたものであることに怒りを覚える。
何故だろう。偽りは偽りでいいではないか。
それで幸せならいいではないか。
何故憎む、怒る、嫌悪する?
何故なのか…?
答えに靄がかかっている。
よくよく考えれば導き出せる答えだった。
だが導き出せない。
出すのが面倒に感じてきたのだ。
否定も肯定もしない。
外道行為を淡々と行った私を私はただただ受け入れていた。
そんな私の中身はもう悪虐に染まっていた。
ふと急に、私がよく用いる単語の定義が定まった。
掲載しておこう。
偽り。
それは人々の理想であり己の業だ。
営業。
それは理想の運命の偽りを生み出し人を幸せにすることだ。
契約。
それは顧客の幸せの始まりであり一つの営業活動の終わりだ。
魔法少女。
それは幸福の空気に身を包まれ中を漂う存在だ。
それは今日私が偽りを用いて得たものだ。
魔女。
それは現実を知り絶望した魔法少女だ。
クマ吉…幸せになってください。