拒絶行為の使用タイミング【書評『もっとモテる技術』 デイビット・コープランド /ロン・ルイス 著】
- 2015/08/13
- 03:47
Pretext。
一時、拒絶行為についての議論があった。営業師とは似て非なる者として営業界隈に存在している恋愛工学徒は、このことを「disる」とし、ルーティーンを重んじ恋愛工学の先駆けであるPUAは「ネグる」とし、S級やスト高と呼ばれる女性を口説くものとして日々議論を行い実行に移していた。
これら拒絶行為は女性を貶めるものである。これらの拒絶行為がネット上で取り上げられた時、当然ツイッターで多くのフォロワー数を持ち発言力を兼ね備えたキラキラ女子のアカウントは荒れに荒れ、同業者同士でも型を持たずマインドを強く大切にする営業師たちからは疑問の声が次々と上がり、これら拒絶行為を語る営業師たちへの一斉弾糾が行われた。しかし感情なぞ論理の前では無意味と頑なに凝り固まった強い意志をもつ彼ら営業師達にはそんな彼女(彼ら)の意見など聞く耳を持つわけもなく、「怒るという事はdisの有効性の証明だ」との開き直りであった。
我々営業師たちが何故わざわざコミュニケーションにおいてこの拒絶行為するのかといえば、落とすと決めた女性の自尊心をけずり取っていく事で得られる効果とその恩恵を目的にしているからである。相手の自尊心を失わせる事によって以下の効果をもたらす。
・コミュニケーションでの立場を対等以上にする。
・女に動じず、簡単に落とせない強い男のアピール。
・思考が読めず何を考えているかわからないが魅力的に感じる男のアピール。
・下心を隠す。
・褒めなれて貢ぎ慣れてスレた豚となっている状態に新しい刺激的感覚や価値観を与える。
だがこれらは同時にハイリスクでもある。
・女性から罵声を受ける。
・その女性との契約が不可能となる。
数にしてみれば大したことはないが、人によってはこれはとても大きな物と感じることだろう。これらのリスクを背負いながら拒絶行為を行っていく。
そんな拒絶行為について「だけ」書かれた日本訳された洋書がある。それが「もっとモテる技術」だ。
モテる技術はご存知だろうか?
そう、あのクソほど分厚い黒いあの本だ。恋愛工学がヒットする前に発売された元祖モテ本だ。営業の本ではないのだが、誘惑の技術がたんまり詰まっている。(余談だが2ちゃんねるでは非モテ状態でこの本の有用性を否定している男の事を本書の登場人物に因んで、ボブるとよんでいる。)
それの続編である。その本書の書評を書きながら拒絶行為についての考察と私なりの考えを書き綴っていきたいと思う。
Read。
まず、本書はモテる技術の半分ほどのページ数しかない。さらにモテる技術のように小出しのストーリー仕立てになっているわけではなく、マインドセット→技術概要→トーク集と三段仕立ての文章構成をしているためか、とても読みやすい。また、元祖モテる技術は少しアメリカンテイストが混じりすぎていて日本では扱いずらいテクニックやトーク内容、またその設定が殆どであったが、こちらのもっとモテる技術の方は殆どのトーク内容がそのまま丸パクリしても大丈夫な内容であるため前作よりも即戦的かつ実践的である。
しかし欠点としては前作のあのクソ分厚いモテる技術を読破してマインドが非モテではなくなった状態に洗脳されている、またはアレを読まずとも少なくとも彼女が一人くらいはいる、または営業で契約を一人くらいは出来た状態でないと有効ではなさそうだという事である。つまり、この本は中上級者向けの内容なのである。理由は後程。序盤中盤終盤に分けて内容を洗い出してみよう。
本書では非モテ男の事を
BNB
Boring Nervous Bonehead
退屈で 気が弱い 間抜けな男
と呼んでいる。要は退屈で気弱で間抜けな男になるなと序盤では注意を呼びかけている。また、このBNBとは二種類あり「簡単に落とせる男」「絶対に落とせない男」としている。本書ではこれらの状態の男は大変好ましくないとし、簡単に落とせる男のことを『退屈で自尊心がない者』、絶対に落とせない男の事を『不器用で臆病な小心者』としている。
序盤のマインドセットでは「簡単には落とせない男」になるためにはどういった事をすれば良いか、実際に起こりうるであろう女性とのコミュニケーションをとりあげ、それに対する受け答えを「簡単に落とせる男」「絶対に落とせない男」「簡単に落とせない男」の3つの回答を列挙する事によって「簡単に落とせない男」のマインドを知り学んでいく。
中盤は拒絶行為の概要についてだ。最終的に誘惑をする事が我々の目的である。故に本書では以下の二つの点を濃い太字で書かれていた。
・相手に合わせるばかりでは誘惑的ではない。
・相手に合わせないだけでは誘惑的ではない。
ここが本書、もっとモテる技術に『二つ』あるとても重要な基本事項の中の一つだ。これは本書だけに書かれたものではない。誘惑者とは常に複雑で矛盾を孕んだ存在であるのだとという。
終盤はトーク集だ。軽い拒絶、ほどほどの拒絶、強い拒絶、まとめ…と終盤は分けられているが、この終盤のトーク集がこの本書の約半分を占める。(終盤と呼んでも良かったのだろうか…)マインドセットを読まずとも本書の半分後ろをかいつまんで読み、拒絶発言の基本骨子である「君って○○な人なんだ〜」と幾つかの「決まり文句による拒絶」、「何か特別な意味でもあるの?」を日本訳してそれを暗記して営業を行えば効果がすぐに出るはずである。
最後の章に、もっとモテる技術に『二つ』あるとても重要な基本事項の中の二つ目がある。
ひとつ。「今は"拒絶"のテクニックを使うべきか?」
そして、今がその時だと判断したらあなたは次の問いに移る。
ふたつ。「どの"拒絶"法を、使えばいいか?」
Check。
さて、我々営業師達はdisなりネグなり拒絶なりという拳銃の如く強力な武器を手にした。それを今、正しく使う事は果たして出来ているだろうか?私達は女性を誘惑するのを目的としている。だが…
相手に合わせな過ぎて不器用な男になっていないだろうか?
"今"はその彼女を拒絶をするタイミングだったのだろうか?
なんでもかんでもdisって絶対に落とせない男になっていないだろうか?
リスクも背負わずにネグったりしてはいないだろうか?
戦争が最近話題になっているし、ミリオタに分かりやすいようにそちらで例えてみようか。
人畜無害な民間人にあなたは銃を向けるのか?きっとあなたは殺戮者として世界から叩かれるだろう。国からはターゲットとして挙げられていた本当の敵を倒さなかったただの腰抜けと言われ国外追放されてしまうかもしれない。
敵と対峙した時、銃を向けたその時。安全装置はちゃんと解除されているか?そのまま引き金をカシャカシャしてもタダの間抜けにしか見えないぞ。なに?ヘルをしている兵にHSを狙っているだと?しかもそんなヘボなハンドガンで?もはや敵からも間抜けにしか見られていないぞ。
きっと有能な同業者たちは大丈夫だろう。だが、テクニックに溺れ過ぎてちょっとでもギクっとなった人はこの本を読んでみるといい。きっとブックオフで108円で売っていると思う。なかったらAmazonしてしまおう。定価でもいいからとにかく買って読む、テクニック溺死の復活にはそれだけする必要があると思われる。
拒絶行為は、本来恋愛上級者が使うべきものなのである。恋愛上級者とは女は自然とやってくるくらいの風貌であり、それの裏付けによる自身があり、その結果出てくるのがこの拒絶行為なのだ。恋愛上級という原因があり、拒絶行為という結果が生まれてくる。テクニックの生まれた原因の部分を知らずに行い続けると、きっと機械のような感情の腐った人間になってしまう事まちがいない。
恋愛初心者がこの『拒絶行為だけを真似』したらどうなってしまうだろう。確かに一時は効果があるように見えるかもしれない。でも一時だけでしかない。無意識下の挙動に初心者特有の自身のなさが現れとんでもない罵声を受け続ける事になるだろう。
こちらが拒絶するのだから向こうもたまには拒絶してくるだろう。その拒絶を自らの中に受け入れることができない、寧ろつい感情的に無理矢理論理を持ち出して女の子達に反論してしまう、そんな営業師にはなってはならない。こればっかりは間違いのないことだろうと私は思う。重々気をつけねばならない、自分はもしかしたら間違った行いを日々繰り返しているのかもしれないという事を。
Action。
・飴と鞭を使い分けたコミュニケーションを磨く。
・魔法少女たちには時間という飴を与えること。
・「それって何か特別な意味でもあるの?」の日本語らしい言い方の考察。