愛の色は赤色〜ゴリラ編〜
- 2015/11/11
- 05:05
小説を
書こうとするが
途中まで。
キュベお。
マクロスを見てたら思いつきました。
苦手な人はパスしてください。
「あそこ、みて、綺麗だよ」
そう、目の前の女の目線をそらさせ、僕はその唇へ顔を近づける。吃驚法のギラツキ。女を誘い、何処かへ連れて行く時、その女の手をはじめて握る時、そしてその女にはじめてキスする時。注意を僕からそらさせ、すぐさまそれらを実行することで、女は抵抗する事なくそれらをスンナリと受け入れるのだ。
丁度その同時のタイミングだった。まるで僕の心臓を叩き潰すかのような衝撃。その衝撃の後から刹那の爆音が、耳の鼓膜に到達し、耳鳴りが僕の聴覚を奪ったのは、何故だろう、はじめての感覚だった故、今でもわからない。
その音は僕たちの後ろからきたものだった。思わず反射的に彼女は僕の胸に縮こまり、一方僕は首だけを後ろに振り向かせる。今、たった今この瞬間、驚いていい人間は僕の胸元にいるこの女だけであって、その中に僕が含まれていいわけがなかった。久々に負の感情が沸き起こるんじゃないかと危惧した。
そこには普通この場にあるはずのないものが2つあった。一つ目のそれは…いや、もう過去のことをあれこれ修飾するのは面倒臭いな。結論を伝えると、一つは女性の死体だった。そしてもう一つはゴリラのようなもので、そいつはその女性の死体で遊んでいたのだ。
簡潔すぎただろうか?耳を疑うだろうか?残念、これは僕がこの目でみたものだ。派手な色の絨毯でも敷いたのかと錯覚するくらいあたり一面真っ赤に染まっていて、その上で女性の死体ではしゃぎ回るゴリラ。片腕を簡単にもぎ取り、放り投げ、目玉に己の指を勢いよく突き刺し、下の穴からその野太い腕を突っ込んだかと思うと臓器を引き摺り出したりしながら遊んでいたのだ。
僕はもう、そう誰か知らない奴に操られているかの様にゴリラに遊ばれている女性に目を向けていた。よくよく見ると女性は動いていた。死んではいなかった。もがれていない腕や足は痙攣を起こして震えており、目をほじくられた頭は全て唇色に染まっていて、どこに口があるのか一瞬わからなかった。大きく開いている穴があり、そこから肌で感じ取れるほどの奇音を発しているのがわかり、口だったものだと判断した。不幸中の祝いなのか、不幸なのか、僕の耳は口だった穴から上げられる大きな死の音を捉えてはいなかった。耳鳴りのせいだ。それでもとんでもない量の人々の叫びがこの場所にあるのはもうわかりきっていたことであった。
ここは日本でも有名な、とあるデートスポット。クリスマスである今夜は多くの男女のカップルがこの場に集い、キラキラ光る雪と共に煌々と照り行くイルミネーションをみながら各々ロマンチックな気分に浸っている空間、であるはずだった。
そんな中に唐突に訪れた大量虐殺。
気がつけばこのロマンチックな空間にはゴリラたちがいて、女性達を次々に、陽気な事のように殺害していったのだ。
あぁ、すまない。ゴリラは一匹だけじゃない。何匹もいたのだ。それはもう数えられないくらい。そして何匹もいるゴリラは決まって女性だけを追い掛け回し、振り回し、引きちぎり、かき回し、叩きつけ、投げ飛ばしていった。よくよく見るとそいつらはゴリラではなかった。黒い体表に見えたがそれはただ浴びた返り血であって、元々は我々と同じ肌色の体表である様だった。中には人間の服を身に纏ったそれもいて、様々であった。だが一つそいつらの体で共通して言えるところがあった。上半身が異常に発達しており、それと比べて下半身を支えるには不釣り合いなくらい細い足を持っているということだった。その姿が僕にはゴリラに見えたのだろう。こんなゴリラもどきが女性ばかり虐殺しているこの空間で男性を探すのにはとても苦労をした。
僕はあまりの非現実的な現象に目と耳を奪われてしまっていた。そしてハッと気がつく。時間の感覚すら吹っ飛んでいた様な感じだった。
さて、僕の女はどこに行った。まずそれが僕の脳内で思考された。「逃げなくては」という思考が直ちに働くはずなこの状況だというのに、僕は真っ先に彼女の安否を優先していた。あれ、そういえば僕は僕の身の安全のことよりも第一に考えてしまうほどあの女に思いを寄せていたのだろうか?
ほんの一瞬だけ些細な疑問を思ったのだが、そんなものはすぐに消し飛んだ。そうだそうだ、そうだった、あの女は僕の胸の中にうずくまっているはずだ。何を思うかどうかなんて今はどうでもいい、とにかく彼女がそこにいるかどうかだけが気になっていた。
僕は女がいたであろう僕の胸元に目線を落とす。いない。僕の胸元までしか身長のないあの女がいない。いない代わりに気持ちの悪い形をした青や黒や白や黄色、大部分は赤色の得体の知れないものを抱いていた。柔く、所により硬く、そして脆い。理解した、これは肉塊だ。そしてあの女だったものなのだと。
己の手を見てみる。これは手なのか?少し縦長に大きくなっていた。畳まれたその歪な形の手のひらに、粉々に砕けた恐らく骨だったろうものが入っていた。
僕はその現象にあっけにとられていた。そして次第に意識が薄れていった。同時に体が勝手に動いていくのも薄っすらだがわかった。この現象と現状を理解し、ある確信が持てた時には僕はもう僕ではなくなっていた。
この日、世界の男たちは殺戮のケダモノになったのだと、男女が完全に別の生き物となり、終わりの見えぬ戦争が始まるのだと、後の歴史書は綴った。
書こうとするが
途中まで。
キュベお。
マクロスを見てたら思いつきました。
苦手な人はパスしてください。
「あそこ、みて、綺麗だよ」
そう、目の前の女の目線をそらさせ、僕はその唇へ顔を近づける。吃驚法のギラツキ。女を誘い、何処かへ連れて行く時、その女の手をはじめて握る時、そしてその女にはじめてキスする時。注意を僕からそらさせ、すぐさまそれらを実行することで、女は抵抗する事なくそれらをスンナリと受け入れるのだ。
丁度その同時のタイミングだった。まるで僕の心臓を叩き潰すかのような衝撃。その衝撃の後から刹那の爆音が、耳の鼓膜に到達し、耳鳴りが僕の聴覚を奪ったのは、何故だろう、はじめての感覚だった故、今でもわからない。
その音は僕たちの後ろからきたものだった。思わず反射的に彼女は僕の胸に縮こまり、一方僕は首だけを後ろに振り向かせる。今、たった今この瞬間、驚いていい人間は僕の胸元にいるこの女だけであって、その中に僕が含まれていいわけがなかった。久々に負の感情が沸き起こるんじゃないかと危惧した。
そこには普通この場にあるはずのないものが2つあった。一つ目のそれは…いや、もう過去のことをあれこれ修飾するのは面倒臭いな。結論を伝えると、一つは女性の死体だった。そしてもう一つはゴリラのようなもので、そいつはその女性の死体で遊んでいたのだ。
簡潔すぎただろうか?耳を疑うだろうか?残念、これは僕がこの目でみたものだ。派手な色の絨毯でも敷いたのかと錯覚するくらいあたり一面真っ赤に染まっていて、その上で女性の死体ではしゃぎ回るゴリラ。片腕を簡単にもぎ取り、放り投げ、目玉に己の指を勢いよく突き刺し、下の穴からその野太い腕を突っ込んだかと思うと臓器を引き摺り出したりしながら遊んでいたのだ。
僕はもう、そう誰か知らない奴に操られているかの様にゴリラに遊ばれている女性に目を向けていた。よくよく見ると女性は動いていた。死んではいなかった。もがれていない腕や足は痙攣を起こして震えており、目をほじくられた頭は全て唇色に染まっていて、どこに口があるのか一瞬わからなかった。大きく開いている穴があり、そこから肌で感じ取れるほどの奇音を発しているのがわかり、口だったものだと判断した。不幸中の祝いなのか、不幸なのか、僕の耳は口だった穴から上げられる大きな死の音を捉えてはいなかった。耳鳴りのせいだ。それでもとんでもない量の人々の叫びがこの場所にあるのはもうわかりきっていたことであった。
ここは日本でも有名な、とあるデートスポット。クリスマスである今夜は多くの男女のカップルがこの場に集い、キラキラ光る雪と共に煌々と照り行くイルミネーションをみながら各々ロマンチックな気分に浸っている空間、であるはずだった。
そんな中に唐突に訪れた大量虐殺。
気がつけばこのロマンチックな空間にはゴリラたちがいて、女性達を次々に、陽気な事のように殺害していったのだ。
あぁ、すまない。ゴリラは一匹だけじゃない。何匹もいたのだ。それはもう数えられないくらい。そして何匹もいるゴリラは決まって女性だけを追い掛け回し、振り回し、引きちぎり、かき回し、叩きつけ、投げ飛ばしていった。よくよく見るとそいつらはゴリラではなかった。黒い体表に見えたがそれはただ浴びた返り血であって、元々は我々と同じ肌色の体表である様だった。中には人間の服を身に纏ったそれもいて、様々であった。だが一つそいつらの体で共通して言えるところがあった。上半身が異常に発達しており、それと比べて下半身を支えるには不釣り合いなくらい細い足を持っているということだった。その姿が僕にはゴリラに見えたのだろう。こんなゴリラもどきが女性ばかり虐殺しているこの空間で男性を探すのにはとても苦労をした。
僕はあまりの非現実的な現象に目と耳を奪われてしまっていた。そしてハッと気がつく。時間の感覚すら吹っ飛んでいた様な感じだった。
さて、僕の女はどこに行った。まずそれが僕の脳内で思考された。「逃げなくては」という思考が直ちに働くはずなこの状況だというのに、僕は真っ先に彼女の安否を優先していた。あれ、そういえば僕は僕の身の安全のことよりも第一に考えてしまうほどあの女に思いを寄せていたのだろうか?
ほんの一瞬だけ些細な疑問を思ったのだが、そんなものはすぐに消し飛んだ。そうだそうだ、そうだった、あの女は僕の胸の中にうずくまっているはずだ。何を思うかどうかなんて今はどうでもいい、とにかく彼女がそこにいるかどうかだけが気になっていた。
僕は女がいたであろう僕の胸元に目線を落とす。いない。僕の胸元までしか身長のないあの女がいない。いない代わりに気持ちの悪い形をした青や黒や白や黄色、大部分は赤色の得体の知れないものを抱いていた。柔く、所により硬く、そして脆い。理解した、これは肉塊だ。そしてあの女だったものなのだと。
己の手を見てみる。これは手なのか?少し縦長に大きくなっていた。畳まれたその歪な形の手のひらに、粉々に砕けた恐らく骨だったろうものが入っていた。
僕はその現象にあっけにとられていた。そして次第に意識が薄れていった。同時に体が勝手に動いていくのも薄っすらだがわかった。この現象と現状を理解し、ある確信が持てた時には僕はもう僕ではなくなっていた。
この日、世界の男たちは殺戮のケダモノになったのだと、男女が完全に別の生き物となり、終わりの見えぬ戦争が始まるのだと、後の歴史書は綴った。